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24任務失敗(タツヤ)

 

 ふと気づけば、あたりは真っ暗だったが、時間が経過すると徐々に暗さに目が慣れて周囲がわかるようになった。

 どうやら、グローリーホールにときどき穴を塞ぐように張ってあるRGF社の調査部隊が設置した墜落防止用のネットに転落したようだ。


「し、死ぬかと思った。」

「あ、あわ、泡、泡、泡、あわわわわわ。」


 霞も、若干の泡を吹きながら気絶しているようだが、無事なようだ。

 助かった。実は、冒険者たちからはRGF社はスーパーブラック企業とは言われているが、さすが大企業とだけあって安全対策がしっかりしている。


 そこに遅れて、羽をバタつかせながら例のゴミ虫が降りてきた。


「だ、大丈夫?」

「おい、大丈夫なように見えるか。」

「え、えぇ、、、、一応、二人いるし、一応、手と足と首はつながっているのです。」

「お前の基準は手と足と首がつながってればOKか。」


 さて、とりあえず、ここから戻らないといけないわけだが、、、、


「おい、ゴミ虫、ここから上へ戻れるか。」

「ちょっと、あたし、虫じゃないんだけど!まぁ、体力が回復すれば、大丈夫だと思う。ちょっとだけ生気を分けてくれれば。」


 虫は否定しても、「ゴミ」のところは否定しないんだなと思いつつも、ネットの上で泡を吹いている霞を指さす。

 前にも、「ちょっとだけ生気をちょうだい」と言われてひどい目にあったことがある。どうせ生気を吸うのであれば、意識のない奴にしておこう。


 俺はアリエルに霞のほうへと指さしておく。


「では、いただきます!」

「ふぁ?」


 霞は間の抜けた声を出しながらも、目が覚めて気づいたようである。霞の指先に羽虫がとまっている。


「あぁ、なんだか体のなか何かが抜けていく感覚がするわ。なんだか気持ちいい。。。」


 そう、不思議とあれ最初は気持ちいいと感じてしまうのだ。


「ふぁ?うん?ちょ、ちょっと、ちょっと待って!」


 その気持ちいい程度で済めば何も問題ない。喜んで生気を差しだそう。だが、アリエルのあれは、その程度では済まないのだ。


「ちょっとそれ以上は!、ちょ、ダ、ダメなのよ。て、てめぇ、ふざけんな!!!!」


 あっ、切れた。


「ふぅ、ごちそうさま。げっぷ。満腹満腹。」


 例のゴミ虫はというと、お腹を膨らませて宙に浮かんでいた。


「それにしても、まったく人間って不便なのです。空も飛べないなんてね。」

「おい、羽をむしってやろうか。それで、大丈夫だろうな。さっきみたいに『あっ』とかはごめんだぞ。」

「このアリエルに任せなさい!」


 任せられたら、心配などせんわ。

 と思いながらも、その脇では生気を吸われた霞が「もう、あたし、お嫁に行けない。。。」とぐずっていた。


 ともかく、その後はアリエルの魔術で再浮上し、今日は調査はいったん終了となった。

 俺たち二人と、一匹はというと、なんだんかんだで、とりあえず、迷宮都市ラビリンスまで戻ってきた。


 霞は、「あたし、穢れてしまったわ。。。。」とか言っていたが。。。


 そのまま、再びチャレンジしてもいいのだが、無闇に突っ込んで自ら死にに行くような馬鹿じゃない。

 この大迷宮は地上とは世界が違う。下手をすれば、命を失いかねない。立て直しが必要と考えたのだ。


 何よりも、ゴミ虫ことアリエルの魔術は素晴らしい。

 だが、俺たちはアリエルの魔術について無知すぎる。どこまで維持できるのか、生気とやらどれぐらい必要なのか、生気というのは大量に吸われても問題ないのか、他にどんなことができるのか。そういったことをちゃんと把握して挑む必要があると考えたのだ。


 今はラビリンスの街中を霞と二人並んで帰っている。夕暮れの時間帯かもしれないが、ラビリンスはいつも同じ明るさ、提灯虫のきまぐれでときどき色味が変わることがあるが、暗くなることはない。


「ねぇ、その深層まで行けたら一生遊んで暮らせるだけどのお金になるかしらね。」


 さっきまで霞は「穢れた。。。」としょげていたのに、お金の話をした途端に、元気になった。

 基本、霞はお金の話しかしない。まるで、仲間のように話しかけているが、霞はあくまで家の隣人。


「当り前よ!一生遊んでも、遊びきれないぐらいなのです。このあたしに任せなさいな。」


 アリエルは自分の肩に乗りながら、足をぶらつかせている。

 なんでこの羽虫はこんなにも自信満々なんだ。


 ところで、今は、放し飼いにしているが、何も知らない人間から見れば、アリエルは知能を持った珍しい虫、新種の生物だ。もし、見つかり、捕えられればどうなるか、

 そう、うちらが最初そうしたように、捕まって、オークションなどに売り出されてしまうだろう。

 なので、しばらくアリエルの存在は隠しておいたほうが良いということになった。


「なら、任せるのです。意識をしないと見えないような魔術があって、それを使って人間世界ではいつもイタズラをしていたのです!」

「おい、イタズラって!」

「たとえば、こっそり虫かごを抜け出して、冷蔵庫の中のケーキを漁ったりとかね。」

「うん?。。。待て。あれは、やっぱり、そういうことか!!!泥棒虫が!」」


 ということで、迷宮都市ラビリンスではその魔術を使って、しばらく他人には姿を見えないようにしてもらったのだ。

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