200幕間:妖精、女神になる。(セシリー)
どうも、かわいいかわいい妖精セシリーでーす。
プッハー。イタズラしたあとの飲むビールは最高ですな。今日はリアの酒場に飲みに来たのですよ。
さて、さて、これで、この物語も終わりなのです。
ラビリンスも、ノヴァリスも戦いがなくなってめでたしめでたしと。
タツヤも霞もブチューまでいってめでたしめでたしと。
妖精の寿命は人よりも長いのです。人々の純情100%で出来ているピュアな生き物ですからね。
だから、タツヤと霞のことも、当然、最後まで看取りましたよ。
二人はとても幸せだったようです。
二人は繰り返し転生を繰り返した転生者。おそらく、二人で幸せな世界へと転生して活躍していることを祈りましょう。
さて、あたしは、というと……、
えっ、ぼっち?
まさか、どこかのゴミ妖精とは違いますからね。
毎日、仲間の妖精と一緒に人間たちにイタズラしまくりです。
見てくださいよ。この地上の世界を。
青々と色がる大空、青々と広がる大洋。
そこには復興した新しい街並みと、そこでにぎわう人々。もう、ラビリンスもノヴァリスも確執なんてありません。
街並みはノヴァリスの技術でまるで未来都市のような街並みになってます。
魔術は弱まってしまったようですが、魔術の使える人々は火をつけたり風を起こしたりして、人々の生活を豊かにしています。
そこに、かつてのこの地に広がっていた絶望なんてどこにも残っていません。
人々は繫栄したのです。
そして、妖精は人々の希望です。
だからこそ、イタズラのしがいがあるってもんですな。
その昔、この地にいた朱音やベベルたちが妖精というのを広めてくれたというのもあるのでしょう。
だからですね、今は妖精を信じてくれる人もたくさんいるんですよ。
でも、ですね。少し納得できないことがあるのよねぇ。
そう、あのゴミ妖精アリエルです。
みんな、忘れてない?アリエルの体が半透明だったこと。
まぁ、ザマァ、みたいなところがあるんだけど。
今は妖精を信じてくれる人もたくさんいるせいか、半透明は戻ったようだけどね。
ラビリンスとノヴァリスの戦いの最後をみんな覚えてる?
あのとき、薄い花びらのようなものが、この地上に降り注いだんですよ。
それが、人々の心に安らぎを与えたようなんですね。
まぁ、ただの鎮静化の魔術ですけど、それを使ったのがあのゴミ妖精アリエル。
鎮静化の魔術なんて、あたしでもできますけど、そのとき、人間たちが見てしまったのよ。
この魔術を使うアリエルの姿を。
雪のようにピンクの花びらのようなもの舞う背景で、美しく可憐に舞う妖精、その姿を見てしまったらしいのね。
それからというもの、噂が噂を呼んで、女神アリエル様なんて呼ばれる始末。あのゴミ妖精が。
最初は、そう思いましたよ。
「なんでアイツが女神なのさ。」
って。でも、みんなの信仰を集めた今、今では半透明だった体は、黄金に輝いているのよ。
って言っていたら、ほら、酒場にやってきたわ。あのゴミ妖精。
「あら、セシリー、ごきげんよう。今日もイタズラなんて下等なことでもしているのかしら?人気のない妖精は大変ね。心中、お察ししますわ。お~ほほほっ。」
「あ、あら、ゴミ妖精。ごきげんよう。今日も無駄に輝いてるわね。」
ちっ、まったく、ムカつくゴミ妖精だこと。
と思っていたら、今度はちょうどこの店の主人のリアとダンがやってきたわ。リアは地図を売っていたり、夜は酒場で金を巻き上げているのよ。今ではダンという男が一緒に協力しているわ。
「ほ~ら、アリエルちゃん、天狗にならないの。いつか痛い目会うわよ。それから巻き上げるんじゃなくて、代金を頂いるだけなのよ。ちょっとだけ水増しして。」
「おい、リア。水増しはダメだろ。」
「いいのよ。どうせ酔ってるんだから。」
「まったく。やり過ぎるなよ。それから、妖精も、イタズラやり過ぎるなよ。変な噂が立ってるぞ。」
今はこうやって、たまにあたしもアリエルもリアのお店に来ては話をするようになったのよ。
ところで、噂??
――
今はラビリンスとノヴァリスは同じ地上にある隣町となっている。
その街の境界の部分、そこに、とある大きな銅像ができたのだとか。
美しい羽根、華奢な体。いたずらに可愛い笑顔。
その銅像の足元にはこう書かれてあった。
「街を救い、人々の心に安静を与えた勇敢なる……羽虫」と。
その銅像の周りでは何かと足の小指をぶつけたり、財布が重くなったと思えば持ち金が全部小銭になっていた、などと、ロクなことが起きないだとか。
その周囲では、人々はヒソヒソと噂話をするらしい。
「妖精アリエルはクソ妖精」と。




