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199次の転生へ(主人公)

 

 やはり転生した。


 いったい、ここはどこか。


 日本の昔、古風が家が建ち並び、人々は着物、男は脇に帯刀しながら歩いている。

 はて、場所、時代的には日本の江戸時代だろうか。


 転生をするとすべてがリセットされる。リセットされないのは自身のわずかに残る記憶と身に着けた技量だけ。

 転生すると、前回の記憶もある程度薄れていく。そのせいか、転生をする度に自分の名前すら忘れるのだ。

 さて、この世界では、なんと名乗ろうか。


 はて、自身の服装を見れば、薄紫の綺麗な和装を纏っている。


 ここでは、適当に、かっこよく漢字を当てて、適当な名前でも名乗っておくか。


 きっと、自身のわずかに残る記憶と、繰り返しの転生で長けた剣術で、また、どのようになるのかわからない、この転生の世界を過ごしていくのだろう、とそう思った。

 そう思った、はずだった。


 ただ、これは運命なのだろうか。

 目の前にはどう見てもあの人によく似た女性がいたんだ。


 だって、服こそ小袖の和装だが、その姿は、背はスラっと高く、黒のストレートのロングヘアーで、毛先に少しウェーブがかかっていて、頭のてっぺんに大きな寝ぐせがついている。そこそこの豊満な胸、それに、その顔は決して忘れることなんてできない顔だった。


 だから、つい、ジロジロと見てしまった。


「だ、誰よ、あんた。」


 自分には記憶がある。だが、その彼女は転生するたびに記憶がなくなると、以前に聞いていた。

 きっとそういうことなのだろう。


「ふふっ。」


 思わず笑ってしまった。たぶん、目の前にいる女性にはなんともキモイ男に見えたことだろう。


 彼女に記憶はない。

 いいさ。それでもいい。だって、こうして、また相まみえることができたのだから。


 たとえ、記憶がなかったとしても、こうして、再び出会えたことに感謝しよう。


 今までの自分はただ、時間の過ぎゆくままに、無駄に時間を過ごしていたさ。

 けども、これからは違うだろう。

 彼女の記憶を思い起こすことに全力を注いでいこう。


 俺は、目の前にいた女性にやさしく話しかけてみる。


「こうして、あったのも何かの縁だ。身寄りもないのだろう。近くの村まで一緒に行かないか。」


 俺は彼女へと手を差し伸べる。


「えっ、ごめん、無理。」


 ふふっ、どうやら嫌われたようだ。まぁ、いい。出会えただけでも可能性があるというもの。

 これからも、長い時間がかかるだろう。けども、それで、いい。俺は時間をかけて、彼女の記憶を呼び戻そう。


 さぁ、これから、また新しい冒険のはじまりだ。

 俺はゆっくりと一歩を歩む。きっと、いろいろなことがあるだろうけど、それも冒険なのさ。


「ねぇ?」


 ただ、その彼女がふと、俺を呼び止めた。


「あんたさ、『タツヤ』って人、知らない?」

「えっ?」


 ふふっ、思わずにやけてしまったよ。タツヤという名前なんて自分には記憶はない。だけど、ぜなか、とても懐かしい感じがするし、なぜか、にやけてしまうほど、親しみがある。不思議だよな。


「な、なによ、キモイんだけど。」


 世の中、まだまだ捨てたもんじゃない。本当に長い長い、長い時間だった。

 でも、その時間は決して無駄ではなかったということだろう。


 さて、前を向いて進もう。まだ、冒険は始まったばかりだ。

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