2 繰り返す転生(主人公)
「はっ!」
気づいて辺りを見渡す。死んだはず。
だというのに、気づけば、そこは日本。ただ、時代的には、まだ戦国時代のようだ。
よくわからないが、再び、転生をしたらしい。
ただ、戦場を歩いていたら、たったの僅か数時間後、敵の攻撃を受けてすぐに死んだ。
これが、二回目の転生だった。
再び、気づけば、三回目の人生は次はどこかの未来都市にいた。ただ、友人もできることなく、周りから蔑まれ、ただ、孤独に人生を全うした。
そして、四回目は戦禍に巻き込まれた廃墟だ。十分な食料もなく、間もなく飢え死にした。
よくわからないが、自分は死を迎えると、別の世界に転生するようだ。
死を迎え、次の世界へと転生、その繰り返し。
ひたすらに時間の流れに身を任せ、自然の行きつくままに、あらゆる時代と場所に辿り着き、新たな人生を送る。そして、再び。死を迎え、再び転生をする。
最初は足搔いたさ。新しい人生、リセットしてやり直そうと。
けども、それで人生が変わるかといえば、転生する前と何も変わらなかった。
これだけ何度も転生しながらも、友人なんていなかった。常に孤独に生き、周りからは蔑まれ、寂しく寿命を全うするだけ。
そんな繰り返しの転生を幾度となく、何度も繰り返した。
辛い。孤独すぎて辛かった。
読者の皆さん、わかるか?この辛さが。
何度も転生するうちに、もう膨大な時間が経過した。
もう一回や二回どころなんかではないんだ。もう百回、千回、万回を繰り返した。数なんてわからない。
わずか数時間で寿命を全うすることもあれば、百年生きたこともあった。
仮に一回の転生の寿命が50年として、少なくとも見積もって50万年だ。その間をずっと孤独に生きた。
想像して欲しい、50万年のも間、友人もおらず、ただ、ひたすらに蔑まれながら孤独に生きる。
ずっと、ずっとだぞ。
喋る相手は誰もいない。
周りからは、「死ね」「バイキン」「臭え」とか言われながら蔑まされる。
死にたくても、次に世界へ勝手に転生する。
この辛さが、どれだけ辛いか?
不思議なことにどの世界でも戦いは起きている。おかげ様で、戦いの技術だけは異常に強くなった。
魔術を使う世界に転生もした。だが、自身は素質がなかったか、魔術の類は身に着けることはなかった。
だが、それもどうでもいいこと。
ただ、心残りがあるとすれば、転生する前の、大学時代のときのあの先輩に、もう一度ぐらい会いたかった。
これだけの回数を転生しているのであれば、あの人のいる世界へと、いずれ転生をしてみたいものだ。
そして、今日も、一つの人生を終え、再び転生をする。
目を開くと、今回の世界は、現代世界のように見えた。
背の高い建造物が無数に立ち並んでいるが、おかしい。人々の姿が一切なく、あらゆる構造物は、鬱蒼と茂った植物に巻き込まれている。交差点と思われたところには、犬や鹿などの野生動物が悠々と闊歩している。
あぁ、わかっている。
何度も転生した自分は似た風景を何度も見た。戦争だ。戦争によって人々は自滅したのだろう。
どこかに生き残った人たちが、この何ともしがたい世界を必死に生き抜こうとしているのだろう。。。
と、最初は思っていた。