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19 Bランクの実力(霞)

 

 あたしも冒険者としてギルドで登録はしているけど、別にこの大迷宮の最深部を目指したいというわけじゃないのよ。でも冒険者としての最低限の知識は知っているつもり。


 なので、前線に『魔獣の巣』とか呼ばれている場所があることも知ってるわ。

 噂では、真っ黒い巨大な魔獣がいるそうで、銃で撃っても効かないとか。なので、もしも、遭遇したら真っ先に逃げるべし、と言われている。

 だけど、こういう時に限って、遭遇したりするのよね。


 最前線といっても、普通の洞窟と変わらず、ときたま提灯虫が光を照らしてだけで、ほとんどは暗闇が支配している。周りは自分たち以外いないので、歩みを止めると辺りはシーンと静まり返ってます。

 けど、そこに小さく足音が響き渡るのです。


 ダッダッダッダッダッダッダッダッ


 その足音は徐々に大きくなり、そして、暗闇の中からは灰色の迷彩色の兵服に身を包んだ兵士が現れたのです。赤髪が目立つショートカットの女性、ですが、その兵装からすると、どうやらRGF社の民間兵のようです。


「RGF社第一最前線調査部隊曹長、朱音であります!そこのあなたたちも逃げるのであります!ヤバいのが追ってくるのであります!」


 そう言ってキレイに敬礼しては、赤髪の女兵士はすぐに走り過ぎていきました。

 冒険者の勘というのかしら、その背後から凄いのが襲ってきてる気配がするのです。


「ちょっと、気をつけて。後ろから結構ヤバそうながこちらに向かってきてるわ。」


 タツヤはしばらく、背後の暗闇の様子を見てたようでしたが、その背後に何かドス黒い大きな生き物が迫っているのを視認します。


 おそらく、これが『魔獣の巣』と言われている場所であり、その噂の魔獣そのものなのでしょう。

 特に形というものはなく、洞窟の天井に届きそうなほど巨大、躯体は真っ黒で、その形状は常に変化し続けています。まるで、巨大な真っ黒いスライムとも言うのでしょうか。


「ほぉー、なるほどぉ。」


 近づいて、よ~く見ると、一つの黒い巨大な生き物のように見えたのですが、どうやら、ちょっと違うようです。

 小さなカラスのような黒い鳥が集団で群れて、1つの大きな生き物のように見えたようです。

 通称、迷宮ガラス。凶暴で肉食性の鳥類。集団で群れて、人だけでなく、凶暴な大耳熊ですら襲う鳥です。

 群れるといっても、いつもはもっと小さな群れなのだけど、ここまで大きく群れは見たことがないわ。

 おそらく、これが魔獣の巣の正体ね。


 タツヤには作戦があるようです。


「霞、走って逃げてくれ。それと、虫かごを頼む。」

「え、ちょ、ちょっと!」

「おい、こら、虫かごを投げるなです!」


 タツヤは腰に帯刀している小刀に手を当てます。

 そして、そのまま、目にも見えない速さで抜刀したのです。なるほど、あたしがタツヤと出会ったとき、RGF社のクソ兵士に食らわせた居合術ですね。


 タツヤの抜刀に合わせて、横一面に光のような一閃が広がり、それは目の前の迷宮ガラスの群れを両断したのです。お見事!

 だけど、甘い。

 所詮は両断しただけ。迷宮ガラスの群れの進撃は止まらない。


「ちっ。」


 さらにタツヤは再度抜刀。縦方向に光のような一閃が広がり、迷宮ガラスの群れを縦に両断するのですが、数の暴力には勝てないのです。


 さすがに、これは手助けが必要なようね。あたしは手を迷宮ガラスに向けて構え、気を集中します。


「フレイムストーム!!」


 赤々とした豪炎が飛び出し、その炎は竜巻のように渦を巻きながら洞窟の天井高くまで舞い上がり、後方にいた迷宮ガラスたちを一斉に巻き込んでいくのです。

 それは、まるで、この世界が豪炎に包まれたかのように、洞窟内の空間のあらゆるものを燃やし尽くします。


 魔術自体は、そんなに大したものじゃないわ。Cランク冒険者でも使えるような初歩的な魔術よ。けどね、あたしがやると、威力が桁違いに違うのよね。


 しばらくすると、炎は消えて、名残で洞窟には残炎が残り、ほのかに洞窟内を橙色に照らします。

 あれだけ大量に群れていた黒鳥たちの一匹残らずいなくなって、洞窟の地面には、煙をあげて、黒こげになった姿が一面に広がってます。


 あっ、元々黒かったから、黒こげになってもわからないですね。


「今日の夕飯は焼き鳥ね。」


 タツヤは、この状況をみて驚いた様子です。虫かごの中のアリエルちゃんも、この様子を呆然と見てます。


「お、おい、あんた本当にBランクの冒険者か?」

「えぇ、Bランクよ。」

「ふーん、人間のランクはよくわからないけど、Bランクというわりは凄いのです。」


 なぜかあたしは、自分が生まれたときから魔術を知っているの。なぜかは、わからない。

 さっきの魔術は、初歩的な魔術だけど、高度な魔術や、古代魔術と呼ばれる魔術もあたしは使えるの。


 どこか、遠い記憶の中に、誰かが教えてくれてたような記憶があるのだけど、定かではないのよね。

 理屈ではなくて、体が、本能が、魔術の使い方を教えてくれるのです。


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