15お隣さんの羽虫(霞)
ふぁ~っ。
寝ぼけなまこの顔をしながら、大きなあくびをしながらあたしはベットから起きます。なぜか姿はすでに外行きの装い。少々露出多めの上着に短パンとミニ丈のフレアなスカート。
しばらくベットの上で、ぼ~っとしたあとに、ベットからかなり離れた床に転がっている目指し時計を見て愕然とします。
。。。。しまった。寝坊した。。。
気づけば、すでに昼を回っている。
実は、ある作戦を決行する予定だったのです。
最近、RGF社の民間兵に超凄いと噂の曹長さんが就任したらしいの。きっと噂になるぐらいだから、金持ちでイケメンに違いないと、あたしは勝手に想像するのです。
そこでなのです。
地下の大迷宮の入り口で、出待ちして、さりげなく偶然を装い、「あら、偶然ね。よかったら、一緒にどうかしら。」と持ちかけ、他の女に持ってかれる前に、手をつけようとしたわけです。
この美貌をもってすれば、落せぬ男などいないのですよ。
いつもは採掘で汚れるので、長袖、長ズボンで迷宮へ行くことが多いのだけど、ちょっと露出多めで太ももでも見せれば、男なんてイチコロなのよ。
という作戦であったはずなのだけど。。。。二度寝してしまった。。。。
仕方がない。作戦はあきらめて、街中で装備を整えたり、買い物でもしよう。
遅い朝食、というか、もはや昼飯ですらないのだけど、適当にキッチンで軽くすまし、すでに外向きの装いなので、そのままの格好でドアを開ける。
安マンションとはいえど、それなりの高層階、眺望が良い。ドアを開けると、地下都市ラビリンスを一望する風景が飛び込んでくる。そして、心地よい風が吹き、あたしの髪をふわっとなびかせる。
ここが深度1万mに作られた都市とは思えない。
ドアを閉めて鍵をかけようとしたときに、隣に気配を感じ、横に目線を見る。。。。
「あっ。。。どうも、こんにちわ。。。」
そこにいたのはお隣さんでした。
つい、先日までお隣さんとは交流はなかったでのすが、ちょっとした事件があり、気まずいながらも、大迷宮の前線から一緒に帰るという謎のイベントがあった関係で、今ではバッタリ会えば、あいさつ程度はするようになってます。
軽く会釈し、振り向き出かけようとしたときに、ふと、どこから少女のような声が小さく聞こえてきます。
(ねえ!ちょっとこっから出して!お願い!)
??
ふと、ふと周りを見まわすけども、少女なんていない。いるのはお隣のオッサンだけ。
はて、気のせいか。
再び、振り向き、出かけようとするが、、、、
(ね、ねぇ、聞こえてる!こっから出してよ!)
うん?確かに、小さく、少女のような声が聞こえる。
今、このマンションの通路にはあたしと、隣のオッサンしかいないはずなのに。。。
「あのぉ。。。どこからか、助けを呼ぶ声がしませんか?」
(ここ!、ここから出して!あたし売られちゃう。)
よくみると、隣人のオッサンの手には虫かごがあり、中で何かがジタバタと動いている。
「あぁ、これか。珍しい虫を見つけてな。言葉を喋る。知能は低そうだが、高度な魔術が使えて、人から生気を吸いやがる。あとで売ろうと思ってな。」
(違うから〜、あたし虫じゃなくて妖精だし。知能も、高いし。)
そこにいたのは、虫、というよりも、手に乗りそうな小さな少女、純白の衣につつまれ、銀髪。何よりも、透き通った透明な羽を背中に身に着けている。
そして、、、か、かわいい!
「え!、すごい!新種の生物ですよね。初めて見ました。これは売れますよ!オークションに出したら百万、いや、千万、下手したら億ぐらい行きますって!」
「おい、嘘だろ。そんなに高く売れるのか!」
「当り前じゃない!この迷宮では毎日、新種の生物が発見されるけど、こんな生き物は初めてよ!マニアに高値で売れるわ。最低でも百万はしてますって。こんなに珍しくて、美しい羽虫なら、いろんな人が食いつきますよ!」
(あたし、売れないって。妖精を売るなんてしたらバチが当たりますよ~。てか、虫じゃないし。)
まさかの偶然。なんだかよくわからないオッサンだとは思いながらも、やはりあたしの目に狂いはない。だって、こんな金になりそうな虫を捕まえてくるとは。
そこで、あたしは思うわけですよ。どうすれば、このオッサンから金を巻き上げられるかなと。
以前、このオッサンと前線にあるRGF社の鉱床のところで会ったとき、あたしをじっと見つめていたわけですよ。はっきり言って、キモイ。でも、これは脈アリな訳で、攻略難易度としては、EAZYなわけです。
これは巻き上げないわけには行かないのです。一攫千金も夢ではないですよ。
(ねぇ、ちょっと。ちょっと、聞いてる?おい、ババア!)
ふと、そこで、虫かごの中の羽虫が禁忌の言葉を発したのです。
「ぁぁああ!!」




