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13妖精アリエル(アリエル)

 

 あたしの名前はアリエル。

 妖精です。

 人間達は知らないと思いますが、そう、妖精はこの世界にいるのです。


 世界中に妖精の村というのはあって、空や海の中、洞窟の中に人知れずあるのです。

 そして、ひそかに人間には見えないように魔術を使って、人の世界に出てきては、人の生気を吸って生きています。生気を吸うといっても、ちょっとだけ。たくさん吸ってしまったら、気づかれてしまうし、人を殺めかねません。だから、ほんのちょっとだけです。


 そして、あたしたち妖精の村はある巨大な洞窟の中にありました。人はその洞窟のことを大迷宮と呼んでいるようですが。

 昔はとても居心地がよかったです。洞窟といってもあたしの達の村はキレイな淡いピンク色の花が一面に咲く場所にあって、周囲はヤブに囲まれていて、めったに他の動物たちが入っている来ることもなく、快適でした。


 ですが、あるとき、人間たちがこの巨大な洞窟を発見し、探索を始めたのです。


 あっという間に地下1万mのこの場所までたどり着いてしまったのです。どうやら、まだ、この村にはたどり着いてないようでしたが、それも時間の問題です。


 そこで、あたしたちの村長はある決定をします。

 この場所を放棄し、別の場所に新しい村を作ろうと。


 そして、事件は村の引っ越しの日に起きました。

 当時はあたしはしばらく生気をとってなかったので、とてもお腹が減っていたのです。


 お腹が減りすぎて、なんだか眠くなってしまったのです。

 そして、ウトウトと。。。気づくと。。。。。あれっ、誰もいない。

 あたしは、焦りました。まさか、この村一番かわいいと言われているこのあたし、アリエルを置いてけぼりにして、引っ越しなんてしないよね。


 あたしは村中を探し回りました。

 でも、誰もいない。まさかの置いてけぼり。そう、みんなあたしを置いて引っ越した後でした。


 あたしは、これから、どうしようと、絶望に暮れました。


 しかも、まったく食事をしてないせいか、足取りはおぼつかくなり、適当にフラフラと空中を舞っていると、だんだん妄想が見えてきたのか、目の前には獲物である人間が見えてきたのです。


 あたしは、無我夢中でその人間に食いかかろうとしました。


 だけど、あたしは、ふと気づいたのです。

 あたしたち妖精は、人前に姿を出すときには必ず魔術で姿を消すのです。もし、人間に妖精の存在が気づかれようものならば、何が起きるわかりません。妖精界から追放されてしまうでしょう。


 そして、今のあたし、人間に食いかかろうとしているところで、姿が丸見えじゃん!と気づいたのです。


 さらに、分の悪いことに、相手の人間はこちらに気づいてしまいました。


「えっ!」

「あら、ヤダ。」

「・・・。」

「・・・。」


 あたしと人間はしばらく、目を合わせたまま、どうしようと考えてました。

 でも、バレてしまったものは仕方ありません。今更どうしようもないのです。

 であれば、今は自分の食欲を満たすべきなのです。


 あたしは、弱弱しく、徐々に地面に落ちるように舞い降りました。


「あぁ、もう一週間も何も食べてないわ。どなかたあたしに食事を分けてくれるやさしい方はいないかしら。」


 ちょっと、わざとらしいです。

 でも、それぐらいがちょうどいいのです。相手は人間です。そして、目の前には村一番かわいいと言われた妖精アリエル。どんな人間だって、ついつい助けたくなってしまいます。


 ですが、あたしは何か間違いをしたのでしょうか。

 突然、相手の人間は腰につけていた小刀を構えて、こともあろうに、このあたしに刀の切っ先を向けてきたのです!


「ちょ、ね、ちょっと、待って!このかわいい妖精が困っているの。なんで刀を向けるの!!」

「ほう、言葉を喋る新種の昆虫?いや、爬虫類か?」

「ちょっ、ちょっと、違うから!見てよ、この美しい羽、可憐な姿、あなたの肩に乗れそうなぐらい華奢な体、どうみてもかわいい妖精でしょ!!」

「妖精?そんな生物聞いたことないぞ。」

「それがいるの。ほら、目の前にいるのが証拠。ねぇ、それよりも食事を持ってない。あたし、お腹すいちゃって。もし、分けてくれれば、恩返しにいいことしてあげるわよ。」


 う〜ん、なんだか予想とはだいぶ違う方向になってしまいました。

 だが、見ておれ、人間よ。これで、「じゃ、食事を分けよう」と隙を見せたところで、すかさず大量の生気を吸ってやるのです。

 。。。

 そのつもりだったのですが、、、


 目の前の人間はそこらへんに生えている花の葉っぱをむしっては、こちらに投げてきやがった。

 しかも、刀はこちらに向けたまま。せめて、投げるなら葉っぱじゃなくて花にしろ。


「ちょっと、あたし、草食動物じゃないんだけど!」

「なるほど、では、肉食動物か。やはり魔獣の類か。」

「そうじゃなくて、あたし、妖精、よ・う・せ・い。もっと、普通な食事ないの?」

「まったく、人が優しくしているのに、うるさい虫だな。」

「だから、あたしは虫じゃなくて妖精!」


 だが、しめた!相手の人間は懐から何か出そうと、刀を下げて視線をずらした。

 チャンスは今しかない。

 瞬時に人間の背後に瞬間移動、さらに、確実に仕留めるために、部分時間停止の魔術を仕掛けておく。そして、やっと、目の前の人間に向けて食らいつく。


 やっと、やっと、食事にありつける!

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