99グローリーホール、再び(タツヤ)
グローリーホールは深層1.5万m、大迷宮都市ラビリンスは深層1万mに位置しているので、約5千mほど地下へ下ることになる。ラビリンスから近いところは、観光化されていて、一部にはエレベータが設置されているところもがあるが、それでも5千m近くを下ることになるので、それだけ時間がかかる。
地上でいうならば、アフリカにあるキリマンジャロ山を下山するようなものだ。
しかも、洞窟という複雑な入り組んだ地形の中を進まなければならないので、数日ほどの時間はかかる。
なので、グローリーホールのある最前線と、ラビリンスとでは隔離されており、独自に自治が形成されていたりする。
特にグローリーホール周辺部の資源はRGF社が占有しているところも多く、RGF社の影響は大きい。
そんな中を二人と半透明の一匹が進んでいく。
ラビリンスでのアイギスの一件があったせいか、迷宮内は閑散としており、他の冒険者とすれ違うことがほとんどない。
「待って、RGF社の兵士よ。気を付けて。」
時たま、出会う人はいるが、冒険者よりも、RGF社の兵士の方が多い。
そして、前回、グローリーホールに飛び込んだ際は、RGF社の兵士団とは戦闘になったので、一応はこんな感じで、コソコソ隠れながらに、隠密行動をしている。
アリエルの便利魔術で、姿を見えなくする、というのもあるのだが、、、
「生気をくれ。」
「全力で拒否する。」「全力で拒否する。」
と、手を顔の前で振りながら拒否のジェスチャーをし、珍しく霞とは意見が合った。
「別にちょっとぐらい、いいじゃない。」
俺も霞も全力で拒否し、こうして、隠密行動を取っているのだ。
そんなこんなを繰り返し、常に隠密行動を取りながらも、グローリーホールの深層1.5万mまで到達する。
ここは、冒険者たちの最前線であり、RGF社の最前線部隊も配置されているところだ。
グローリーホールに飛び込む前にいた、軍団長や、赤髪の曹長と呼ばれる女兵士に見つからないようにと、これまで以上に慎重に足を運んでいく。
岩陰に隠れながら、その先を確認し、
「OK、クリア。問題なし。」
「こっちもOKよ。」
と、俺と霞とで、迷宮の先に兵士がいないかを確認しながら進んでいく。
のだが。。。
「こっちは大丈夫。OKよ。」
と霞が合図を出す。が、よく見れば、その背後、岩陰となった薄暗闇の中から、どこかで見たことのある赤髪のRGF社の兵士の顔が不気味に浮かび上がる。
「霞!!後ろだ!後ろ!」
「えっ。」
ガシッ
直後、背後の暗闇から伸びた手が、霞の肩を捕まえる。
「見つけたのであります。」
まずい。
見つかった。
霞は掴まれた手を振り払おうとするが、離れない。
ズドン!!
霞が何かの魔術を放出したのだろう。霞の背後に向けて、強大な爆発のようなもの起きると、ようやく捕まれた肩が解放されたようだ。
「霞、逃げろ!」
その隙に、霞は逃げるも、例の赤髪のRGF社の兵士も、先ほど爆発など何事もなかったのように、こちらへと追ってくる。
なんとも執念深い。
「待つのであります!今は捕縛の命令は出てないのであります。なので危害を与える気はないのであります。」
「それって、命令があれば捕まれる、ということでしょ。」
「それは、そうなのですが、、、、」
霞と赤髪のRGF社の兵士が追いかけっこを続けながらも、会話をこなす。
赤髪の兵士は、徐々に声調が小さくなるが、走り続けながらも、一呼吸起き、はっきりした声調で語りかけてくる。
「教えてほしいのであります!グローリーホールの底に、桃源郷はあったのでしょうか?」




