4 オーガ来襲
オーガが来襲してきた。流石オーガは強い。しかし、マリエールの比ではない。
4 オーガ来襲
コボルトを里の壁を木登れないオークを想定しているため木を登れるものの来襲には効果がない。ましてオーガが来襲してくる想定などない。知らせを聞いたマリエールも唖然とした。とにかく現地に駆け付けないと。オーガ達は山側から侵入したようだ。現地に行くと3人の兵士が倒れていた。3人とも意識は失っているが、怪我はない。もう一人の兵士にマリエールを呼ばせるためか。狙いはマリエールということか。
「いったい何のためにこんなことを。」
マリエールは絞り出すように語った。オーガは、
「オ―ク達にオ―ガの里を襲わせた。首魁め。大人しく首を差し出せ。」
何をどう考えればそんな話しになるんだ。
「我々もオークに危険な目合わされた。オークに襲われたんだ。どうして我々がオークにオーガの里を襲わせるようにさせたと思うのだ。」
老剣士が前に出て
「それ以上問答は無用。では参る。」
老剣士は神速でマリエールの背中に回って腕を切り落とした。マリエールは腕を収納した。腕は再生した。マリエールも右手に剣持ち、
「全員一斉にかかっておいでよ。このままではそちらの勝ちはないよ。」
一番若い女性が何か唱える。草や木がマリエールを捉える。2人の青年が左右から切りかかってくる。マリエールは転移してナイスミドルとグラマーな女性の背後に周り2人を蜘蛛糸でぐるぐる巻きにした。
「そろそろ負けを認めないかい。喋る魔獣が傷つくのを見たくないのだけど。」
青年2人は悔しいそうだ。若い女性は、
「彼女一度も本気出していない。彼女が本気なら私達皆殺しだわ。」
老剣士は、わしに腕を落とさせたのは回復魔法の力を見せるため、姫の妖術を受けたのは転移の魔法を見せるため。2人を蜘蛛の糸で縛ったのは、妖術を見せるため。それほどの回復魔法があるなら、相手を傷付けても回復魔法で治してくださるのでしょ。私も剣士の一人、あんな戯れ事に付き合わされたままでは終われません。殺すならそれで結構です。あなたの本気を見せてください。と言った。
「本当に死ぬ覚悟出来て居るんだね。私はきみ達誰も殺したくないけど、そこまで言われたら本気の力を出すしかないようだね。そうでは真剣勝負しよう。」
今誰も巫山戯た様子はしてない。老剣士の信念、生き方を知っている。強い相手だからこそ敢えて挑む。常識的でないその生き方こそが彼の信念、長生きできんぞと言われ続けたがここが終焉か。
舞台中央に2人は立つ。倒れていたコボルト達も今は場外で観戦中だ。審判は姫だ。
「始め。」
姫の掛け声と共に、刃が交わる。一合だけだ。両者全く動かない。姫はどうすればいいか、兄を見る。兄は黙って首振る。このまま続行だ。
「ピシッ。」
老剣士の剣がひびが入る。武器破損だ。審判は止めようとするが老剣士は拒む。戦場で剣が折れたと言って待って貰えるのか。常在戦場それが彼の生き方だ。やがて剣は2つに折れた。マリエールの剣は老剣士の身体を割いた。
老剣士は確実に死んだ。しかし、マリエールは老剣士の身体を支え回復魔法を掛けた。死者再生の秘術。最終回復魔法。
「しばらく休ませてあげれば大丈夫ですよ。今日はあなた方の歓迎会です。」
老剣士は夜には元気に宴会に参加してエールを飲んでいる。
「本当に生き返りますな。」
冗談ともダジャレとも取れるジョーク飛ばす。まめまめしく世話をする姫は苦情を言う。
「まだ本調子ではないのですから、お酒はほどほどにしてください。」
マリエールは2人のやり取り見て微笑ましく思った。隣に座る姫の兄に言う。
「お前の妹はいいな。美人で気が利いて、優しくて有能。兄妹でも違うもんだな。」
マリエールは今回の来襲を揶揄した。
「しかし、俺を殺す目的を失ったこのチー厶のリーダーこれからチー厶をどう導く。」
姫の兄は迷い無く応えた。
「オークのリーダーを潰す。」
マリエールは当てはあるのかと尋ねねるかないらしい。
「俺はオークジェネラルを何体か葬って、オークキングの存在を確信している。西にはいないから多分東だくらいの情報しかないが、協力すれば、きみ達の願いも叶う可能性が高まるのではないか。俺もオークの事を甘く考えていた事に気付いた。オークキングを葬るまででいい。協力しないか。」
迷う必要はない。妹がここに置いて行ける。戦闘力の高い4人だけのほうが動き易い。しかも師匠の恩人だ。しかし引っかかる。
「俺達の目的は仇討ちだ。お前の目的は何だ。」
良くぞ聞いてくれたと言わんばかりだ。
「俺は世界の困っている人々を救うために生まれた。これから困る人々を生みかねないものは潰すべきだろう。」
何だ、その格好いいセリフは、
「協力するよ。」
オーガ達の歓迎会だ。マリエールにオークキング討伐の協力を提案された。オーガ達のメリットはある。
マリエールのメリットは困る人々を生み出さないためだそうだ。