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私は右手になりました④

「異界人だから魔力はあるのに‥‥ダメダメね、あなたたち」


 すっごいムカつく。何の説明もないまま呼び出されて、訳わかんないのに載せられて、バカでかい戦艦みたいな生き物に攻撃されたのよ。


「うぅ、どうしてこんな目に‥‥」


 どっかの国の皇女様だったらしいネフティスも、仲間なのにまったく何も知らされていなかったみたい。


「魔物はともかく、巨人は大きくても三十M程度だから力負けはないわ。右手のあなたは物理的な力を、左手のあなたは魔法が得意だから頼むわね」


「ぼ、僕は?」


「ないわよ?」


「はぁ?」


 強いていうなら頭突きじゃない、と錬生術師は適当に康陽へ助言した。聖霊人形(ニューマ・ノイド)魂装合体兵器(ドラファント)状態でも、影響するみたい。


 つまり康陽はただの合体要員だと判明した。がっくりと聖霊人形(ニューマ・ノイド)の身体で器用に膝をつく康陽。


「──プッ、キモダざまぁ」


「わ、私がヤッ君を守るからいいの」


 なんか振り回されまくっていたから、心折れる康陽を見てスッキリした。


 私達が元の世界に帰るには、相応のエネルギーが必要なんだとか。前にこの世界に来た時のように、冒険者として、近場のダンジョンという所で魔物を倒し魔晶石というものを得る手もあるそうだ。


 それだと十年くらいかかると言われ私は首を振った。なんだか都合良く誘導されている気はした。


 でも魂装合体兵器(ドラファント)の試運転に協力すれば、必要なエネルギーとなる巨大な魔晶石が沢山手に入りやすい。


 康陽に同調されるのは嫌だから黙っていた。私はロボットやメカは好きな方だ。ドラファント(これ)は少し方向性が違うけど。


「ネフティス、魂装合体兵器(ドラファント)の収容は各自に任せるから、あなたには居住用の魔本の指輪(ブック・リング)を渡しておくわ」


 康陽とは別の事で嘆くネフティスに、錬生術師は指輪のセットと、虹色に光る本を象る指輪を渡した。


「あなたたちの世話は、王蛇人(アイナート)に任せるから、苦手な食べ物とか伝えておいてね」


 いつの間にか巨大な竜は飛び去り、私達は薄暗い石床の部屋にいた。


「場所はそうね、あなたがモンブランと名付けた吊り橋の里にしましょう」


 この流れ‥‥デジャブというか前に見たよね。康陽が吊り橋効果を狙って、隣のクラスの異世界転移に私を巻き込んだ。そして、本当に異界の吊り橋にやって来て一緒に渡り……落ちた因縁の街だ。


「その身体なら落ちても死なないわ。魔力あるうちは飛べるし。ただ壊した場合は、その分の損害を魂で払ってもらうわよ」


 悪巧みをしている人の微笑みって、こんなにも不気味なんだと知らされた。


 錬生術師により、有無を言わせず私達四人は吊り橋の里、モンブランへと送り込まれた。

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