アマラ神殿・中枢(邪神ノアの降臨)
辺りの空気が変わった…
勇の声が聞こえてきた…
勇
「…よし。
マガツヒの封印は解けたようだ。
ごくろうさん。
もののついでだ。
オマエに、オレのムスビが啓かれる瞬間を
見せてやるよ。
まずは、外へ出てみな。」
すると、外の中心部分が魔法陣の様に光り、
宙に浮いていた菱形の物体が地に降りた。
勇
「入ってきな。
オレは中に居る。」
白の神殿の祭壇に光の柱が出現した。
入って外へと出る。
すると、降りてきた菱形の物体が、正面に見えた。
さっそく歩み寄って調べ、中枢へと入る。
勇がいた。少し上の方を見ている。
勇
「…最後の仕事だ。
もうちょっとガンバってくれよ。」
勇が見ていた上の方…
中空に、ヒジリが磔の状態になっていた。
ヒジリの体を核に、マガツヒが集められている
ように見える。
勇
「こいつが終われば
好きなだけ休んでいいからさぁ。」
ヒジリがゆっくりと顔を上げた。
ヒジリ
「…まったくだ。
マガツヒがムズがゆくてやってられねえよ。
こんなバカげた仕事はさっさと終わらせて
一服したいね。」
勇
「まあ、“おまえら”は
人に使われていくらだからなぁ。
少し苦しいかもしれないけど、
しっかり頼むぜ。」
おまえら…?
人に使われて…?
まるで、ヒジリは人ではないような物言いだ。
変に思っていると、勇は隼人に振り向く。
勇
「ご苦労だったね、隼人。
おかげで助かったよ。
オマエのおかげで異神たちの持っていた
マガツヒを手に入れる事が出来た。
これだけあれば、
ムスビのコトワリを啓ける。」
隼人は、何をしているか聞いた。
ヒジリはもう助からないだろう。
それはヒジリ自身も分かっているように見える。
勇
「儀式の準備さ。
ムスビのコトワリを啓くためのね。
見なよ、アイツが核になって
マガツヒを集めてるだろ。
アレを使ってコトワリを啓くのさ。
正直に言うよ、隼人。
こんな上手いやり方を思い付いたのは
オレじゃない、アイツなんだよ。
もっとも、やつが考えてたのは
自分はマガツヒを集める側で…
あそこにはな、オレたち二人のうち
どちらかを架けるつもりだったのさ!!」
まあ、今のヒジリの状態は、
ナイトメア・システムの祐子先生と
同じ状況だ。
ヒジリはターミナルを使って
それを知っていたわけだから、
安易に思い付いたんだろう。
ヒジリ
「…オレは手法を考えてみただけだ。
実際にそうしたかは分からんよ。」
勇はヒジリに向き直り
勇
「…オマエはやったさ。
こんな世界だ、ヒトの命なんかに
大して意味は無い…
…これはアンタの言葉だろ?」
ヒジリ
「…何を言っても
言い訳にしか聞こえんのだろう?
好きにするがいいさ。
手に入れるもののため、
捨てるものもたくさんある。
オレもそうしてきたしな。
オマエが思う道を行けよ。
だが、オマエは多くの代償を払うことになる。
それを忘れるなよ。」
勇
「言われなくても好きにするよ。
ここを支配してるのはオレなんだからな。」
勇はまた隼人に振り向く。
勇
「…見てな、隼人。
これが偉大なアマラの支配者、
勇サマに逆らうヤツの末路さ。」
そして勇はヒジリに向き直り
勇
「それじゃ、サヨナラだ。
好きなだけ休んでくれ。」
ヒジリ
「ハハハ…
まあ、せいぜいガンバるんだな…」
ヒジリはマガツヒの中に落ち、
溶けるように消えていった。
勇
「上出来だね。
これだけマガツヒがあれば心配ないだろう。
…経絡の向こうの奥底、
無限のアマラからオレの守護がやってくる。
そこにいるのは、時間の流れからも外れ
名前すら失った存在…
そう、そいつは
絶対の孤独を支配する神なんだよ。
…でも、名前がないままじゃ具合が悪いなぁ。
そうだな、漂流する神…
ノアとでも名付けておくか。
出ておいで、ノア…」
すると勇は宙に浮いて丸くなり、
核のようになった。
いつの間にか、巨大な獣のような姿が出現し、
それの体の中に入った感じになる。
勇の声が聞こえてきた…
勇
「どうだい、隼人?
これがオレの神だ。すげぇだろ。
これでもうすぐ…
もうすぐ、ムスビの世界ができるんだ。
誰も干渉しあわない、
新しい幸せの世界がね…」
赤く光ったかと思うとノアはいなくなり、
隼人は強制的に外に出された。
すると上空から2体の天使が現れる。
パワー
「…!
あの方の仰られた通り…
…遂に一つのコトワリが啓かれたようだな。」
ドミニオン
「案ずることはありません。
千晶様も動き出されております。
私たちを導くヨスガの守護が
アサクサの地に降臨する時も近いでしょう。」
パワー
「…では、我らも急ごうか。
愚か者どもに裁きを与えねばならん…」
悪魔たち(天使2体)はいなくなった…
外にいる思念体2人に声を掛けてみる。
思念体
「ヒーハー!
勇さんが守護を呼んだぞ!
これで世界は、ムスビが
好き勝手やれるようになる!」
狂信的なムスビ信者だった。
思念体
「勇とかいう若造…
どうやらここのマガツヒで、
力を手に入れたみたいじゃのお。
…ライバル側の悪魔まで偵察に来おったわい。」
ただの野次馬じいさんのようだった。
ターミナルに戻ってアサクサに転送し、セーブ。
外に出ると、街は静まり返っていた。