追いかける雑草
雑草が追いかける。
宇宙を漂いながら、追いかける。
枯れた惑星がどっかへ逃げていくから。
「緑の惑星にならんくていいのかね?」
雑草は追いかけながら問いかけた。
逃げる惑星は、そんな雑草に返答する。
「うちの惑星に緑は必要ないので、他の所に行ってください」
雑草は、数年前に宇宙を飛んでその惑星に飛来した。
だから、宇宙外来植物だった。
よその子だった。
けれど、その惑星は緑を必要としていないから、雑草をぽーいと宇宙へ追い出した。
そして今、「放っておいでください」と、緑の惑星にならないように逃げ続けている。
惑星は言う。
「緑が生えたら生物が生きやすくなってしまう」
そうするとやがて文明が発達して、知的生命体が誕生する可能性が高くなってしまう。
だとすると、その知的生命体が工場を建てたり化学物質を作ったりして、環境汚染とか環境破壊で惑星をめちゃくちゃにしてしまう。
だから、と惑星は説明しながら逃げ続けている。
ものすごい速度で彼方まで逃げ続ける。
「あなたとは共存できません。どうか諦めて下さい」
追いかけるのを諦めた雑草はしょんぼり。
嫌がっているなら仕方がない。
そう思って、別の惑星を探す事にした。