《案内人》とあなた
書き方が少し特殊です。ご注意を。
闇に閉ざされた空間の中、ふとあなたの前にシルクハットを被ったタキシード姿の老人が現れる。
「やあ、ようこそ。外の世界の人。私の名は−−−−−」
老人が名前を喋っているようだが声になっていない。
その事に気づいたようで彼は苦笑し、非礼を詫びるように一礼する。
「……おや、これは失敬。本名は名乗れないことを忘れていたよ。改めて私のことは……そうだな、《案内人》とでも呼んでいただきたい」
《案内人》と名乗った老人は優雅に一礼した。
「さて、外の方。私がこれよりあなたを案内する場所はある恵まれない悲劇の少女の中でございます」
その言葉と同時にあなたに記憶が流れ込む。
−−−両親と笑い合っている自分
−−−村の友人たちと一緒に森へ冒険に出た自分
−−−近所のおばさんに母親からもらった指輪を褒められ、真っ赤になって俯いている自分
幸せそうな記憶が続くが、両親が不慮の事故で亡くなってから記憶の中が一変する。
−−−いなくなってしまった両親
−−−母親の兄と名乗る男性に連れられ、村の人たちと別れることに
−−−叔父の家で意識を失い、目覚めたら身動きのとれない自分
−−−常軌を逸した目をした叔父による自分に対する実験実験実験実験実験実験実験実験ーー!!
そこで記憶が途切れ、あなたの目の前には《案内人》の姿。彼は先程と変わらない様子で佇んでいた。彼は微笑みを浮かべるとあなたに告げた。
「どうやら記憶の受け取りも終えたようですね。この先、少女がどうなっていくのかはあなた次第でございます」
その言葉を聞いた後、あなたの意識が揺らぎ始める。
ゆらゆらと揺れる意識の中で、あなたは《案内人》の最後の言葉を聞き、意識が落ちていった。
「……それでは、新たなる《人生》への良き旅路を−−」
処女作投稿完了!といってもまだプロローグですが。量の方は少ないですがご勘弁を。行き当たりばったりですが完結できるように頑張ります。