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命題・勇者は魔王を倒すべきか?  作者: 安堂C茸
01  暗闇の魔王
30/89

01-30  暗闇の魔王

 散々悪態をついたあとで資料室を後にしたティジーは、椅子に座って足を揺らすペルチの元へ向かった。

 なにやら考え事をしているようで、ティジーが近くに来ても顔を上げずに、眉を寄せて難しい顔をしている。


「ペルチ?」

「んあ! ティジ、お話終わったんね?」


 声をかけられて初めてティジーの存在に気づいた幼女は、肩を大きくびくつかせて驚く。

 陰鬱なペルチと対照的に、話を聞いてもらったティジーは憑き物が落ちたような気分だ。先ほどまでより視界が随分明るく広く見える。

 そんなティジーの目に気づいたのか、ペルチは呆然と様子の変わったティジーを見つめてきた。


「……ペルチ?」

「あ……えと、なんでもない。いこ、ティジ」


 こちらに手を差し出す幼女を見て、今度は自分の番だとティジーは強く決心した。

 ペルチの手を掴み、目の前の通路を指さすティジー。


「よし、それじゃ学び舎の中を案内するぞ」

「へ? ティジ、タイサクのとこ……」

「行くけど、折角村で一番広い建物に来たんだ。椅子に座っておしまいなんて悲しいだろ?」


 突然のティジーの提案に困惑するペルチ。

 先ほどまで沈んでいたティジーがこうも溌剌としていることに、温度差を感じているように見えた。

 繋いだ手と床に視線を行き来するペルチを見て、ティジーはその頭を撫でる。

 途端にペルチはしおらしく俯いた。


「ウチは、魔王よ。勇者に倒されるために生きてるんよ。だから、こんなとこ案内されても……」

「実はだな、ペルチを倒す勇者ってのがオレなんだ」

「……はえ?」


 そもそも今までの話の流れで自らが勇者であることを明かしていなかったティジーは、改めて自己紹介をする。


「じゃあ改めて。オレはティジー。ウレイブのティジーだ。今日めでたく〈暗闇の魔王〉討伐を任された、新人勇者の一人です」


 呆然とこちらを見つめるペルチを見て、ティジーは悪童のように微笑む。


 〈隷属〉の話をした時に、勇者は決められた魔王しか倒してはいけない、と話したのだから、ペルチは自らを倒さんとする勇者がいること自体は理解していたはずだ。

 ただ、それが見つからないから〈魔王対策室〉へ案内してくれると思ったのだろう。


「どう? 怖くなった?」

「ううん。ティジに倒されるなら、嬉しいんよ」

「オレ、ペルチのこと倒さねえよ」

「……勇者なのに?」

「そう。勇者なのに、校内を探検しちゃうのだーっ」


 渋るペルチの手を引くことを諦め、ペルチの背中と膝裏に腕を通して、幼女の身体を横向きに抱える。

 女児向けの絵本にこんな挿絵があったな、と脳の片隅でほんのり懐かしみつつ、ティジーは足早に廊下を歩き出した。

 ペルチは驚きつつも、振り落とされまいと必死に小さな身体をこちらに寄せてきた。


 見慣れた広めの一室に入り、人がいない室内を一望する。

 三人がけの長机が通路を挟んで左右に一つずつ並べられているその部屋は、ティジーが半年間の多くを過ごした思い出深い教室だ。

 ティジーが立ち止まったことに気づき、ペルチもおずおずと室内を眺める。


「ここが準級の教室。オレがずっといたとこ」

「じゅんきゅー?」

「勇者見習いの階級っていうのかな。まあ十四歳の勇者見習いのことだ」

「ティジ、じゅーよんさいなの?」

「そうそう。ペルチは何歳だ?」

「……わかんない」


 伏せ目がちに答えるペルチ。

 そもそもどうして遺跡にいたのか分からないと言っていたのだ、年齢など分かるはずもないだろう。

 見たところ五、六歳に見えるが、〈隷属の魔王〉はヘビの姿であったことから、魔王は容姿と年齢が一致しないものだろうとティジーは推測した。


「そうか。でもきっと五歳くらいだろ。とすると初級の子たちと仲良くなれるかもしれないなっ」

「わあ!?」


 勢いよく上にペルチを揺すって、幼女を抱き直すティジー。

 そのまま教室を出て、座学の授業を受けている教室前を颯爽と通り過ぎる。


 小声でティジーはその教室の解説をする。


「今通ったのが、中級、初級の教室だ。ペルチと同じくらいの歳の勇者見習いたちが勉強しているんだぞ」


 そのまま進んで右に曲がる。

 実習の時に使用する教室が立ち並ぶ棟だ。


「ここは調合室。簡単な毒とか薬とか作るとこ。中級のときは毒耐性得るために、ここで一週間くらい色々てんこ盛りにされるんだ」


「んでこれは服飾室。縫い物とかの授業はここでする。破けた服の修繕とか、簡単なのはオレでも出来るぞ」


「そうそう、実は学内にも調理室あんだよ。設備はわりとしょぼ……って言ったらダメなんだった。コレ秘密な?」


 ティジーは思い出と共に、学び舎の一室一室をペルチに説明していく。

 ペルチはその度に、控えめに質問したり、興味深そうに室内を眺めていた。

 きっと魔王でなければペルチだって村に越してきた子供と同じように、ここで授業を受けることになったはずだ。

 そんな叶わぬ未来を想像して、今のところ誰にもすれ違っていないことに安堵しながらティジーは階段を上る。

 二階の半数近くを占める、本棚が敷き詰められた部屋へ踏み入った。


「ここは図書室。本がいっぱいある部屋だ」

「本……」


 学び舎関係者以外も自由に出入りしていい図書室であったが、〈隷属〉のヘビ騒動と勇者見習いたちの授業が相まって人は誰もいなかった。

 様々な紙の香りが陽の光とともに漂う。


 閲覧用の椅子にペルチを下ろしたティジーは、近くにある高さの低い子供用本棚から一冊の絵本を取り出した。

 簡略化された顔の勇者が剣を高く振りかざす絵は少々威厳に欠けるが、児童向けなのだからこのくらいがちょうど良いのだろう。


 ペルチはその本を見て首を傾げる。

 おそらくは文字が読めないのだ。

 ティジーはペルチの隣に座って、その絵本の説明をする。


「これはな、『ゆうしゃシャルキ』って絵本なんだ」

「しゃる、き」

「世界で一番有名な勇者と魔王のお話だよ」


 ティジーはペルチに絵本を開いて、その文章を優しく読み上げる。


「むかしむかし、あるところに〈漆黒の魔王〉というとても悪い魔王がいました。イジワルな〈漆黒の魔王〉は魔獣に命令して悪さばかりしていました。魔王は用心深くもあったので、決して人前に顔を出すことはありませんでした」


 黒い影の姿でニヤニヤと笑う挿絵を見て、ティジーは適当だなあと心の中でぼやく。

 これが原因で、魔王と言えば黒い影という先入観を持つようになったからだ。


「魔王はどんどん仲間の魔獣を呼ぶので、近くに住む人々は、毎日魔獣に怯えながら暮らさなければなりませんでした。魔獣の不思議なチカラに、人々はどうすることも出来ません。そこで人々は〈漆黒の魔王〉を討伐して欲しいという噂を流すことにしました」

「…………」


「噂をきいた若者たちが、魔王を倒そうとしましたが、全員返り討ちにされてしまいます。腕っぷしに自信がある者も、長年魔獣を研究してきた者も、大量の魔獣の先にいる〈漆黒の魔王〉の元へたどり着くことが出来なかったのです。しかし諦めかけた人々の前に、シャルキと名乗る勇者が現れました」


 〈漆黒〉の話がどこまで本当かは分からないけれども、ざっくりした絵本の内容からするとシャルキはやはりほかの勇者と一線を期す存在だったのだろう。


 ティジーは絵本のページをめくる。

 表紙に描かれた勇者が、人々を元気付けているような挿絵が現れた。


「シャルキは言いました。『わたしは魔王の居場所がわかる〈魔王水晶〉とトドメをさせる〈禊刀〉を持っている。だから魔獣に惑わされることなく、魔王と戦うことが出来る。ぜひ、〈漆黒の魔王〉退治を任せて欲しい』」

「……〈漆黒〉は、シャルキに倒されたんね」


 ぽつりと呟くペルチ。

 絵本の題名と世界の常識から、その結末は火を見るより明らかだ。

 ペルチの言葉を聞いて、ティジーは絵本を机に倒した。


 彼女の黒く丸い目を見て、一般論を語って聞かせる。


「王国の法で決まっているんだ。王国が脅威と見なした存在は魔王とする。魔王討伐は勇者に一任する、って感じに。だから脅威と判定された存在は、みんなみんな、勇者に命を狙われ続けるんだ」

「…………」


 これは世界の常識だ。

 勇者と魔王がいて、勇者は英雄、魔王は悪役として世に名を馳せる。

 ティジーは村の外に出たことがないけれど、おそらくは魔王を支持するような人間は少数派だろう。


 勇者は王国によって作られた、世界の脅威を倒す存在。

 確かに〈隷属〉や〈暗闇〉の能力を考えると、魔王が脅威であることは全くもってその通りである。嘘偽りはない。


「でもさあ……こんなの、おかしいだろ?」

「え……」


 ティジーは図書室の本の上に拳を叩きつける。

 否、叩きつけたのは大先輩である勇者シャルキの顔だ。

 何が勇者だシャルキだ。

 絵本にまでなって、魔王を殺めたことをひけらかしたいのかお前は。


 言ってしまえば、シャルキの物語は魔王が倒されてめでたしめでたしで終わるのだ。

 全ての童話に教訓を求めるのは如何なものと思いつつ、この話はただひたすらに魔王は悪し存在だと繰り返すばかりで、正直に言うと後味が悪い。


「確かに危険かもしれない。人々に迷惑をかけたかもしれない。でも、〈漆黒〉だってさ、イジワルだとか人前に顔は出さないとか……なんか色々書いてるじゃん。生きてたんだよ、〈漆黒〉も。ひとつの命だったんだよ。ペルチと同じで」


 そもそも脅威とは王国が――人が勝手に決めたもので、魔王と呼ばれた彼ら自身は己を脅威などと思うことなど無いのだ。

 生まれ落ちたその命を、人の都合で狩るなんて、この世界の王にでもなったつもりではないか。

 それこそ――人間こそ、魔の王と言って然るべき存在ではないか。


 かの元勇者は、時には人すらも世界の脅威足りうると語った。

 ティジーは今や、何が正しくて何が正しくないのかなんて断言できない。今日一日だけで色んなことがてんこ盛りに起こって、頭がはち切れそうなのだ。

 だからこそ、善悪の判断を「世界の常識」なんかに囚われたくないと思ってしまった。


「で、でも……ウチは……」

「ごめんな、混乱させて。オレが、魔王は勇者に倒されるもんだとか言ったのに。でもさ、ペルチ」


 揺れるペルチの瞳を見つめて、その頬に手を添えるティジー。

 相変わらず柔らかいほっぺただなあと、それを指の腹で触れながら、僅かに頬を緩ませる。


「ペルチは、生きたいだろ?」

「…………っ」


 ペルチのつぶらな黒い瞳が潤んで、目尻から熱い液体が流れ落ちた。

 頬に添えた手にそれを見て、魔王だって泣くじゃないかと、ティジーはその小さな身体を抱き寄せる。

 小さな身体は人間のように温かみがあって、影に潜るチカラを見せなければ、十分にその存在を偽ることが出来そうだ。


 黒いはね毛だらけの髪に覆われたペルチの背中をさすって、ティジーは続ける。


「勇者とか魔王とか……こんな絵本になるくらい、世界の常識になってることけどさ。王国の都合でペルチが死ぬのは嫌だよ。オレはペルチを殺したくないし、ペルチを殺させたくない。だってお前、すげえ素直でバカでアホで見てて和むんだもん」

「でも……でも……っ、ウチは……っ」

「ペルチは、どうしたいんだ」


 ティジーは三度目となる問いかけをペルチにする。

 この問にペルチは、一度目はわからないと答え、二度目は〈魔王対策室〉のもとへ行きたいと答えた。

 どちらも自分の意思があってないような言葉で、ペルチの本当の言葉ではない。

 それとも質問に返答出来るだけの思いが無かったのかもしれない。


 ペルチは、ティジーの服をぎゅうと掴んだ。

 そしてティジーにしがみついて嗚咽しながら、小さな魔王は、初めて自らの望みを告げた。


「うち……わかんない……記憶が無いから……っ。だから、誰がペルチって名前をくれたのか、誰がウチを〈暗闇の魔王〉って言ったのかわかんなくって……っ。でも、ウチは魔王だから、そんなこと知る必要ないんだって……っ、だけど、だけどやだよお! 何も知らないままで、死ぬのはやだよお、ティジィ!」

「うん……うん。よく言ってくれたペルチ」


 黒髪の魔王は、ただひたすらに世の理不尽に向かって泣きじゃくった。

 それをティジーは優しく聞いて、頭を撫でる。

 おそらくは自分が最もしてほしかったように、彼女の罪を赦すかのように。


 死ぬというのはどういうことかティジーはよく分からない。

 でも、死んでしまったら何も出来ないということは分かる。

 ペルチもきっとその事は知っていて、けれども魔王は倒される存在だからと今まで言葉を飲み込んでいたのだろう。


「やだやだ! なんで魔王だと生きちゃいけないのっ、ウチなんにも知らないのにっ! 倒されなきゃいけないなら……生きてたらいけないなら……っ最初からペルチのことなんて、生み出さないでよお……っ!」

「ペルチ……」


 ただひたすらに生まれ落ちたという罪を嘆く魔王は、どうしようもなく小さな、けれども確かな世界の矛盾だった。

 そしてこの魔王を守りたいと思ってしまう自分も、世界の矛盾になるのだろうと、ペルチの声を聞きながら、ペルチの叫びを胸に刻むティジー。

 それを勇者ティジーの一つの礎とするために。


「ごめんな。オレ、無責任なこと言って、すごく辛い思いさせたよな。ごめんな、ペルチ」

「ちがうぅ……っ、ティジは、悪くないっ! ティジは、ティジはいっぱいウチにやさしくしてくれたっ! だからティジは、わるくないんよお……っ」


 世界に勇者と魔王という枠組みがある限り、ティジーとペルチは共に歩めない。

 けれどもこの瞬間、二人は互いに歩み寄ろうとして、誰よりも互いを思い合った。


 ペルチが泣き止むまで、ティジーはずっとずっと、彼女を一人にしまいと抱きしめ続けた。

 討伐されるはずの勇者の胸の中で〈暗闇の魔王〉は、たった今産声を上げたかのようにわんわんと泣き続けた。



######



「よし、もう大丈夫かな?」


 ペルチが落ち着いた様子を見計らって、ティジーは優しく抱擁を解く。

 夕方に差し掛かった図書室には、幸いにも人が訪れることがなかった。


「う……ごべんださい……」


 ティジーの服をしっとり濡らしたペルチは、鼻を鳴らしながら小さく謝罪する。

 ようやく年相応な感情表現を見たティジーは、そんなペルチを優しく撫でる。


「いいっていいって。スッキリしただろ?」


 条件反射のようににんまり笑うペルチにつられてティジーも自然とはにかむ。


「ん! ……でも、ウチ、魔王よ? ティジ、倒さなくていいの?」

「ひとつ名案を頂いてな。そもそも魔王が生まれないようにすれば、もう魔王も勇者も生まれなくなるから、割と万事解決ではないかと」


 件の元勇者の提案をここぞとばかりに突き出すティジー。

 ペルチ以外の魔王にも自我があると考えているティジーは、出来れば他の魔王の命も奪いたくはなかった。

 〈隷属〉だって、話し合いで終わるのならば殺すことなんてしたくなかった。ヘビ型だったので仲良くしたいかと言われるとそれは別の話になるのだが。


「んん……どうやって生まれなくするの?」

「…………それは、おいおい考えます」


 純粋に首を傾げるペルチを見て、渋い顔をするティジー。


 発生源をどうにか出来ればとゾウォルは言ったけれど、所詮それはひとつの予想に過ぎず、魔王の発生源とやらが本当に存在するかすら定かでは無いのだ。

 故にこの野望が本当に実現出来るかは分からない。

 しかし、平均寿命である五十歳になるまでにはきっと何かしら手がかりを掴めるはず、とティジーは年齢にものを言わせて思案する。強いて言うなら死ぬ間際に手がかりを掴んでも遅すぎるので、可能であればもう少し早い機会に手がかりを掴みたいのが本音だ。


 ここでもう少しティジーの頭が聡明であれば次なる目的地を声高に掲げるのだろうが、あいにく座学の授業も右から左に流してばかりで知識量はその辺の十四歳に毛が生えた程度である。

 己の頭の回転の悪さに、正直先が思いやられてしまうティジー。


「いやいや! 決めたからには、まあ……色々ー頑張りますとも! 目指せ、魔王根絶! とペルチの記憶探し!」

「う……うん! ウチもがんばるんよー」


 ティジーとペルチはぎこちなく拳を胸の前に力強く掲げる。

 目標の規模が大きすぎることに少々不安を抱いてしまうが、気持ちで負けてはいけないと拳をさらに振り上げるティジー。

 ペルチもそれに続けて、腕を伸ばし、ぴょんぴょん跳ねる。


 サボり魔常習犯の勇者と記憶喪失の幼女魔王。

 道のりは決して明るくはないが、決めたからには道中をカラカラに照らす勢いで奮起しなければ。


「よし、じゃあまず〈魔王対策室〉のとこにいこうか……って違う違う、ペルチを引き渡しになんて行かねえって!」

「……じゃあ、なんで?」


 途端に怯えるペルチを前に、ティジーは必死で手を振ってその想像を否定する。


 現在ペルチの認識としては〈魔王対策室〉は勇者に成り代わって魔王を討伐する組織、となっているのだろう。

 実際彼らがそのような仕事をするかはさておき、大きく歪んだ情報を与えてしまったなとティジーは苦い顔をする。


「……いや、その、〈魔王対策室〉ってのは色々魔王に詳しいんだ。だからつまり……そう! 情報収集だ!」

「ジョーホー……」

「収集!」

「シュシュー」

「うーん、なんか惜しい!」


 かの物置小屋での渋りようを見ると、彼らは勇者を現場兵のように見下している節がある。

 が、案外公ではない場ではぽろりと情報を零してくれるかもしれないし、それこそ友好的になれればお得情報を得られて満載かもしれない。

 何はともあれ、魔王に関しての基礎知識が皆無に等しいティジーは、印象最悪の糸目やら怒りっぽい銀髪やらに縋ることしか思いつかなかった。


 単語の意味をよく分かっていないペルチの手を引いて、ティジーは〈成人の儀〉の帰り道に聞いた〈対策室〉たちが滞在している宿屋へと向かった。

 学び舎へ向かった時よりも、二人の足取りは軽かった。


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