1/2
#1 RUN
・・・
・・・
カタカタ
・・・
・・・
ヒュン
──────────
「オーバーライド…!」
0110001101100010…
微かに光を放つ粒子が身体を包み込む。
「できてる…よな?」
静寂のなか、小さな音がこだまする。カーテンの隙間から昇り始めた日の光が差し込み、壱の顔を照らした。
「…ゲットニュース!」
言葉を発した瞬間、手元に光が集まり文字を映し出した。
─東京、異常気象続く。2100年6月6日の最高気温は32℃で7月下旬並みの気温になる見込み。(クークルニュース)
「よし、データの取得先を変えられたな」
壱は安堵の表情を浮かべるが、すぐに頰の筋肉をまた強張らせた。
「壱ー!朝ごはんできたわよー!」
階下からいつもの声が聞こえてくる。
「今いくよ」
そう返事をして、静かに動き出す。今日もまた、変わらない一日が始まる。