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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第82話


 進路は決まった。卒業式まで暇だろう?と聞かれればそんなことは無かった。


 少しでもお金が欲しかったので短期のバイトを入れた。


 進路について相談に乗ってもらった山吹先生に「生活費や学費はどうする?」と聞かれたときに「バイトの掛け持ちでもします」と答えたら


 「……それじゃ、身体が持たないだろう。私の知り合いに口を利いてあげるからそこに面接にいってごらん」


 と山吹先生の元教え子が経営しているという所に面接に行き……社員なのに学校に通う時間も考慮した働き方で雇ってもらえた。


 「……はは、恩師の山吹先生に頼まれちゃ断れないさ」


 社長さんはそんなことを言っていた。


 そして……進路のことを叔父さんに報告し、これからは叔父さん達と関わらない道を歩むとはっきり言った。


 叔父さんは何も言わなかったが叔母さんは


 「学費くらい私達に頼ればよいじゃない!」


 と言っていたが「叔父さん達に頼らずやっていきます」と断ったら


 「この頑固者!」


 と叔母さんは怒って部屋を出て行ってしまった、少し泣いていたかもしれない。


 「すみません、叔父さん、叔母さん。今までお世話になりました」


 と頭を下げたら叔父さんは「……達者でな」とだけ答えた。


 叔父さんの屋敷を出るときに龍崎さんがいて


 「……俺の連絡先は消しておけ、俺も消しておく。……頑張れよ」


 龍崎さんはそう言って俺の肩を軽く叩いて屋敷の中に戻る、その背中に無言で頭を下げた。龍崎さんも俺にとって人生の恩師の一人だ。


 屋敷を出て門に向かって一礼した、もうここに来ることは無いだろうと思いながら。頭を上げたら二階の窓のカーテンが揺れているのが見えた……もう一度、恐らく俺を見ている叔母さんに向かって一礼してからその場を去った。

 

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