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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第57話


 「……今日は御呼び立てしてすみません」


 進路についての意向を伝える為に叔父に連絡をとって以前に待ち合わせした喫茶店に来てもらった。


 「……その様子だと進路を決めたようだな」


 「……はい」


 叔父にそちらの世界には行かず堅気の道を歩むつもりだと伝えた。


 「……そうか、それが一番良い。姉さんの望みでもあったからな」


 卒業後は働きながらお金を貯めて先々は進学したいと伝えたら


 「……姉さんの保険金も少しはある、それに進学するなら俺も用意するぞ?」


 叔父は言ってくれたが


 「……叔父さん、すみません。今まで育ててもらっておきながら……これからは叔父さんの力を借りず生きていきます」


 「……そうか、姉さんの残してくれたお金だけじゃ足りないかもしれないが……頑張れ」


 「……はい」


 「ふふ、あのお嬢ちゃんにも宜しくな」


 「はい?」


 叔父は面白そうに笑いながら


 「はは、本当に気づいてなかったか、この前、ここでお前と会った日に、お前が先に帰った後にあのお嬢ちゃんがいきなり現れたんだ」


 蛍が!?何で!?俺が混乱していたら


 「……お前が悩んでいることをわかっていたからだろうな……隠れてお前の後をつけてきたらしいぞ、それで俺の前に座って『……先輩の叔父様ですね?』って話しかけてきたんだ。それでお前をそっちの世界に連れていかないで欲しいと頼んできたんだ……」


 蛍がそんなことを?


 「ふふ、大抵の野郎共は俺の眼を見て話せないんだが……あのお嬢ちゃんはしっかりと俺の眼を見て話していたよ、たいしたもんだ。だから『あいつが堅気の道を選ぶなら無理にこちらの道を歩ませようなんて思わない』って伝えたよ。はは、本当に愛されてるな」


 ……あの、おどおどと俺の後ろを歩いていた蛍が……本当に?


 「……俺になんかあっても葬式なんか出てこなくて良いぞ、くだらん跡目争いに巻き込まれたくなければな」


 お前とお嬢ちゃんの結婚式にも出席できないのは残念だが、住む世界が違うんだ仕方ないと叔父は少し残念そうに言った。そして


 「ふふ、あのお嬢ちゃんが相手じゃ浮気なんかしてもすぐにバレるぞ、気を付けろ」


 と心底面白そうに叔父は笑って


 「……頑張れよ」


 そう少し寂しそうに言って席を立った。


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