第50話
「先輩、ちょっとハサミをお借りしても良いですか?」
「ん、確かそこの引き出しに入っていたぞ…………あっ、駄目っ、そこは開けるな!」
止めるのが遅かった!?
引き出しを開けた蛍は何かを目にして表情が固まった……そして、そっと小さな箱を手に掴み引き出しから取り出した。
「……先輩、そこに座ってください……」
「……す、座ってます、蛍さん」
「……正座で」
大人しく正座で蛍に対峙する。
「……先輩、これは何ですか?」
「……なんだろう?トランプかなぁ?……」
「……0.02ミリと書いてあります……」
はい、どう見てもコ○ドームです。
「……ほ、蛍も箱を見ただけでわかるなんて「先輩、なんでこんなものが先輩のお部屋の引き出しに入っていたんですか?」
こちらの攻撃をキャンセルされた!?そして蛍の目が恐い……
「……先輩、先輩は以前お付き合いしていた方がいらっしゃるんですか?」
蛍の表情が不安げに変わり尋ねてくる……蛍の表情を見ると……茶化したり誤魔化したりしてはいけない気がした。
「……以前お付き合いしていた人は居ません……」
それを聞いて蛍の表情が変わる……恥ずかしそうに。
「……で、では……なんでこんなものが引き出しに入っていたのですか?」
「……そ、それは……『恋人』とそういう雰囲気になった時に必要だから……です」
そういうと蛍は顔を真っ赤にして俯く。勿論『恋人』というのは蛍のことだ。
「……先輩は、『恋人』さんとそういう事をしたいのですか?」
「……そ、それは……したくないと言えば嘘になります……」
……これはなんの尋問だろう。俺が蛍とエッチしたいと思っていることを告白させられている……
「……」
「……」
沈黙が続く……。蛍に軽蔑されたかもと不安になった俺は土下座でもなんでもして謝ろうと思った時に蛍が
「……避妊は相手の事を思った大事なことですよね……」
「……そういうことは恋人同士なら自然なことですよね……」
蛍も恥ずかしそうに俯きつつも肯定してくれた……も、もしかして、この流れは今日このまま……?
「……蛍っ」
「せ、先輩、今日は……駄目です。今日は……駄目な日なんです……」
恥ずかしそうに蛍が告白するので俺も押し倒しそうになった衝動に急ブレーキを掛ける。
「……先輩、これはいつかの為にしまっておきますね」
蛍はそう言って慌てて小さな箱を引き出しにしまった。この時にきちんと箱を見ていなかったことを蛍は後日後悔することになる。




