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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第32話


 蛍の誕生日、普段のお礼も兼ねて何をあげようか……悩んでいた。死に戻る前のあまり褒められた関係じゃない女性達は金目のもので良いだろうと考える必要もなかったのだが、蛍のことを思い浮かべると……高価なものは遠慮するだろうし、あまり派手なものを好むタイプでもないと思う……


 凄く悩むのだが……蛍が受け取って喜んでくれる姿を思い浮かべると何故だか自然と笑みが浮かんだ。


 おそらく何でも喜んでくれると思う……それでも蛍によりふさわしいものが無いかとお店をはしごしていた。


 そうして選んだプレゼントを持って学校にいったのだが……なんだろう普通に渡せば良いものを……鞄に入った箱を変に意識しているのか……なかなか蛍に渡せず……結局、放課後になって少し残って世間話をして……もう帰ろうかというときになって


 「……蛍、お誕生日おめでとう」


 漸く渡せた。蛍は「覚えていてくれたんですか?ありがとうございます……」そう言って嬉しそうに受け取ってくれた。


 「……開けても良いですか?」


 と聞いてくるので「どうぞ」と言ったら丁寧にラッピングを剥がし箱を開ける。


 「……可愛いです、ありがとうございます」


 蛍に似合うかなと選んだ小さな腕時計を蛍は手に取り喜んでくれた。


 「……先輩、腕時計を贈る意味ってご存知ですか?」


 「え?何か不味い意味があったのか?」


 「……いえ、何にも問題ないですよ」


 蛍は意味深に言うが表情は嬉しそうなので問題はないのかと安心した。


 「……先輩のお誕生日はもう終わってしまってるんですよね……」


 俺の誕生日は蛍と出会う前の4月の頭なので蛍は残念そうに


 「……来年の先輩のお誕生日は楽しみにしていてください」


 そんな鬼が笑うようなことを嬉しそうに言った。

 

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