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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
二人の恋物語から数年後②
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そしてまた物語は始まる⑥


 「榊先輩、一緒に帰りましょう」


 「あぁ」


 いつものように恋人の鳴海 雨と並び歩む。彼女はこれからまた魔法少女として戦いに赴くのだろうか?この前は結界とやらの範囲外から観察させてもらったが……まさかあんな化け物がこの世界に普通に存在していたなんて……まるでアニメーションの世界みたいだった。それを退治して何事もなかったかのように帰っていった鳴海もただ者ではないのかもしれない。尊敬に値する女性だ。


 「鳴海、今日もバイトなのか?」


 彼女は魔法少女として活動していることを隠すためにいつも「すみません、バイトがあるので」と言って途中で別れて帰っていく。


 「今日はシフトに入ってないので大丈夫です」


 「そうか……それじゃ家まで送るよ」


 「はい」


 魔法少女活動はシフト制なのか?他にも魔法少女さんは存在するのだろうか?という疑問を抱きつつ、鳴海と共に帰り道を行く。でも、そう言えば……


 「……鳴海を家まで送るのは初めてだ」


 「そう言えばそうですね」


 鳴海の家族構成はどうだったっけ?一度聞いたことがあるはずで……


 「そう言えば鳴海は四姉妹の末っ子だったっけ?」


 「そうです、(ゆき )(しずく)(れい)、そして私、(あめ)の四姉妹。姉たちは雨冠が皆つきます」


 「雨冠……親御さんがあえて揃えて名付けたのか?いっちゃなんだが面白いな」


 「うーん……雪姉さんは雪の日に産まれたからって理由だったって聞いたんですけど……他のみんなはわからないです。両親も四人女が続くなんて思ってなかったでしょうし……」


 「そうか……女性ばかりだと鳴海のお父さんも気をつかって大変そうだな」


 「ふふっ、お父さんは昔から女の人には頭が上がらなかったらしいですよ。お父さんのお姉さん、私から見れば優しい叔母さんですけど、父にしてみたらもう子供の頃から頭が上がらなかった暴君だったって言ってますし……今でも別の意味で頭が上がらなそうです」


 「別の意味でも?」


 「うーん、なんというか叔母さんはスケールの大きい人ですから……。あっ、その……先輩、その叔母さんもそうなんですけど、私の姉たちも彼氏を家に連れてこいと言ってるんですけど……」


 「俺を?何故……」


 「その……先輩を品定めしてやるって言ってるんですけど、本音は面白がってるとしか……」


 「そうか……」


 「……止めときますか?」


 鳴海がそう俺の顔色を窺いながら尋ねてくるので


 「いや、伺おう。お付き合いするならきちんとご挨拶するのは大切なことだ」


 「は、はい」


 鳴海は嬉しそうに答えた、なんだかんだで仲の良い自慢の家族なんだろう。


 「……そういえば先輩のご家族は?」


 「俺の家族か……」


 俺の保護者、日本での本当の保護者は龍崎の爺さんだが、論外だな。あんな強面のヤ○ザ者の爺さんを見たら鳴海が怯えてしまうだろう。怯えるだけに留まらずそれが理由で別れることになんてなったら俺が泣いてしまう。だから絶対に駄目だ。


 「……母さんは海外暮らしだからなぁ……でも、鳴海に会ってみたいと思ってやって来そうな気がする」


 「そうですか。私も先輩のお母様にご挨拶したいです」


 気に入られるか心配ですがと鳴海は言うが……


 「そんな心配は無用だろう。寧ろ、俺の方が……」


 どうしよう、鳴海のご家族に交際を反対されたら……そんな俺の表情を見て鳴海は


 「その、お父さんのことはわからないですけど、姉さんや叔母さん達は先輩をみたら一目で気に入ると思いますよ?」


 「……そうか?女性が好むような話題も話せないつまらない男だぞ?」


 なんで鳴海が俺と付き合ってくれているのかもわからない、そのうち振られてしまうのではと良く考えたら不安になってきた。


 「その……悪い意味でとらないでくださいね?先輩は若い頃の父方の祖父によく似てるんです。この前、古い写真を見て驚きました。だからうちの女性陣からは絶対に高評価間違いなしです」


 「お祖父さんに?それは……」


 褒め言葉なのか?よく分からないがご家族に鳴海との交際を反対されない要因なら良く受け取っておこう。


 「ふふっ、先輩と私のお祖父ちゃんとは共通点が他にもあるんですよ?先輩の名前は主鷹(かずたか)って『鷹』という鳥が入っているじゃないですか。祖父の名前にも『隼』って鳥が入ってるんです!凄いでしょ!」


 そういって鳴海は笑う。鳴海が喜んでくれるなら、母さんが考えてくれたこの新しい名前は縁起が良かったのかもしれない。


 「お祖母ちゃんはその名前のことを『海坊○さんと一緒の名前ですよ』ってクスクスと笑うんですが、お祖父ちゃんは『ゲッ○ー2のパイロットと同じだよ』って苦笑いするんです。意味はよく分からないんですけど」


 「そうか……いつかご挨拶したいな」


 「はい」


 そう笑う鳴海に対して、俺は……


 「あっ、先輩……」


 初めて自分から手を繋いだ。今はまだ鳴海の魔法少女活動の為に越えられない線もあるが……


 「これくらいは良いだろう?雨」


 「……はい、先輩」


 こうして二人はお互いの手の温もりを感じながら歩んでいった。



 『魔法少女と狙撃銃』 序章 完


 これにて『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』の二人の行く末も多少は書けた気がします。


 でも、叔父の創司と妻の瞳、そして瞳の姉との話。出会いはチンピラに絡まれている瞳とその姉を創司が助けたことがきっかけで始まる三角関係。ヤクザの家が嫌いな姉と、好きでもない男に嫁がされるのが嫌な妹。だから創司が選んだ道は……や


 結局、創は誰と結ばれたの?ってことなどは


 作者の頭のなかでは決まっているのですが、それはこのちょっと頭の可哀想な作者ならどう考えるだろうか……と読者の皆様に推理していだだけたらと思います。答え合わせはしませんが。


 とりあえず最後に主人公の最大の秘密、実名が判明したというのが最後まで読んでいただけた読者様への感謝の印で御座います。


 本当にありがとうございました。



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