表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
二人の恋物語から数年後②
241/251

夢旅④


 「……本当に身体を大事にしてほしい。もし、蛍に先立たれたら俺は生きていけない気がする」


 主人がそんな気持ちを伝えてきた。そんな主人に私は


 「……私はあなたに先立たれてもすぐに後を追おうなんて思わないですよ。子ども達が大きくなったからと言ってもまだまだ子どもなんですから、しっかりと見届けてあげないと。それにいつかは孫の顔も見たいですから……二人で長生きしましょう」


 そう主人に笑顔を返したら、主人も笑って「そうだな」と答えた。


 主人とお風呂の中、裸でこんな話をするなんてちょっと恥ずかしい。恥ずかしいついでに主人に老後どうしたいかも尋ねてみたら


 「……老後か。二人で色々と旅行するのも良いけど、俺は定年後は海辺の町に小さなアパートを借りて、日の出から釣竿とバケツを持って朝から釣りをしに行って、昼飯は蛍の作ってくれたお弁当を食べて、日暮れには帰宅して釣れた魚を蛍に料理してもらって晩飯にする。そんな生活も良いなと思うんだ」


 「……私はあなたが釣りをしている間、何をしているんですか?」


 「蛍はアパートにネット環境があれば困らないだろう?」


 「それは、そうですね……」


 今は漫画のアシスタントさんも集まって作業なんかしない。それぞれの自宅で作業している。だからインターネットの環境がアパートにあれば事足りてしまう。


 「昔な、俺と蛍が出会った頃のような小さなアパートで二人寄り添って暮らすのも悪くないと思うんだ」


 「……そうですね。でも、子供達や孫達が遊びに来たときに泊まる部屋がないと困りませんか?」


 「うっ、そうだな……それじゃ……」


 そんな妄想話を二人でしていたら、露天風呂の扉が開く音がして


 「お父さん!お母さん!仲間外れはずるいよ!」


 そう言って、飛び込んできた裸の燕が見えた!


 「な、何やってるの!嫁入り前の娘が!もう、あなた!見ちゃ駄目!」


 私は立ち上がり主人の目を手で覆う。


 「ほ、蛍!この体勢はマズイって!」


 慌てて立ち上がって主人の目を覆った体勢は、私の上半身が主人の上半身とくっつくような体勢で、ちょっと大変な状況だった。


 「あぁー!もう!お母さん!また、お父さんとイチャイチャして!」


 そんな感じで燕も大騒ぎだ。本当になんでこんなことに……


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ