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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物』大学編
201/251

第55話


 「駄目です!絶対に駄目!」


 「えーっ、面白そうだよ!入ろうよ蛍ちゃん!」


 二人は綱引きのように手を引っ張りあっている。何故かというより、何処でかと言った方が分かりやすい。勿論、蛍の苦手なお化け屋敷の前である。


 「蛍ちゃん、お化けなんていないよ?」


 「そ、そんなことわかってます!」


 そう蛍は言うが、あの嫌がりようは心のどこかでいるんじゃないかと思っていそうだ。


 「もう、そんなことで大丈夫?お盆には私が遊びにくるんだよ?」


 「……そんな冗談を言わないでください」


 「ふふふ、蛍ちゃんと睦月君が仲良くしているところを横で見ながら応援してるよ!」


 「……お願いですから寝室には入らないでくださいね」


 本当に霊魂というのが存在していて、俺と蛍がベッドの上で励んでいるところをかぶり付きで観戦する水無瀬さん。


 『そこだ!いけ、睦月君!今だ、必殺技を出すんだ!……あれ?もう終わり?』


 嫌すぎる。


 「仕方ない、それじゃジェットコースターでも乗る?」


 「……あまり高くて速い乗り物は得意じゃありません」


 「えーっ、蛍ちゃん。それじゃ何なら良いの?」


 「……着ぐるみさんと一緒に写真を撮ったり……」


 「蛍ちゃん!もっと、アクティブにいこうよ!」


 「……わかりました!今日は頑張って……観覧車に乗ります!」


 「……まぁ、それでも良いか。睦月君はそれで良い?」


 「あぁ、構わないぞ」


 観覧車に乗った俺達、蛍と水無瀬さんが並んで座り、その反対側に俺一人が座った。


 「蛍ちゃん、見てごらんよ!高い高い!ねぇ、ちょっと揺らしていい?」


 「だ、駄目ーっ!」


 楽しそうな水無瀬さんとそんな水無瀬さんにしがみつく蛍の様子を見てると楽しい、本当は外の景色を見ろって話だけどな。


 「ふふ、蛍ちゃん。怖いなら睦月君に抱きつけば良いじゃない」


 「うぅ、そうなんですけど、つばめちゃんから離れたら絶対に観覧車を揺らすから」


 「だって、睦月君、羨ましいでしょ?」


 「そうか、それじゃ俺もそっちに座ろうかな?」


 と俺が言ったら


 「こ、来ないでください!傾いちゃう!?」


 と蛍が慌てて叫んでいた。


 「あらら、睦月君振られてる。仕方ない、蛍ちゃんは私が貰おう」


 水無瀬さんが面白そうに笑い、ギュッと蛍を抱き締めていた。とても良い絵だったので俺は記念にとカメラに収めた。

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