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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第18話


 昼休み、いつものように空き教室で蛍の用意してくれたお弁当を広げる……きんぴらごぼうや蓮根といつもより食物繊維が豊富なお弁当だな……余計なお気遣いありがとう。

 そんなお弁当をモグモグと食べていたら


 「……失礼します……」


 そう言って一年の草下部と市井が現れた。


 「……昨日はありがとうございました」


 あの時、助けていただいたのに先輩にお礼を言ってなかったこと、泣き止まない市井を落ち着かせるために帰宅してしまったことを詫びてきた。


 「……別にお礼やお詫びなんか良いから……」


 そう言って二人に頭をあげさせると先程二人が入ってきた教室の入口からぞろぞろと一年の男達が入ってきた。市井は顔を真っ青にし、草下部は教室の椅子を持ち上げて威嚇するし、蛍は俺の方を見てオロオロしていた。


 一年達は市井や草下部を見向きもせず俺の前にやって来て


 「「「……昨日はすみませんでした!」」」


 一斉に頭を下げてきた。多分、どこかからか俺の噂を耳にしたのだろう。


 「……謝る相手が違うんじゃないのか?」


 そう返事したら慌てて市井と草下部の方を向き同様に頭を下げた。


 「「「……それでは失礼します」」」


 謝罪が済み、教室から出ていった一年の男達を見届け草下部が


 「……私達も失礼します」


 と言ったら


 「……先輩、ありがとうございました」


 そう市井が改めてお礼を言うのだが俺を見る目がなんか潤んでいるように見えた、また泣いてんのか?と思ったが


 「もう良いから、お前達もさっさと食わないと昼休み終わっちゃうぞ」


 そう言って教室から追い出す。


 「……蛍、いきなり騒がしくなって驚いただろ?ごめんな」


 「……いえ、先輩は良いことをしたのですから」


 そう言う蛍は市井のことをじっと見ていたようだ、いじめられっ子としてのシンパシーでも感じたのかもしれない。


 「……そういう訳だから食物繊維は大丈夫だからな?」


 「……でも先輩がお家で野菜を食べているイメージがありません……」


 蛍は「……先輩の健康の為に頑張ります」と宣言する……なんだろう蛍が俺の母親みたいになってきたなとお弁当を食べながら思った。


 


 

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