第43話
「……」
「……渡貫さん、目が覚めましたか?酒は抜けましたか?」
「……」
「……大丈夫ですか?それなら縄をほどきますね」
布団と縄でぐるぐる巻きにされた渡貫さんの拘束を外すと、全裸の渡貫さんが現れ、いそいそと自分のパンツを穿き始める。この一連の流れはもうお約束の域に達している。
「……」
「……もう、いいですから、今度から気をつけてください。俺が捕まえてなかったら公然猥褻で逮捕されてますからね」
渡貫さんはペコペコと謝るが多分、また酒を飲んだら同じことが行われるだろう。
無口な渡貫さんは酒を飲んだら豹変する。服を脱ぎ出して外に行こうとするんだから変態、いや、大変なのだ。
「もう、いっそのこと縛られた状態で飲めば良いかもしれませんね……」
「……」
それは嫌らしい。無口な割に視線や表情、仕草で会話を成立させるから不思議な人だ。あとは何故か調べものが得意らしい。
「え?お礼に何か調べものがあればしてくれるって?」
「……」
「彼女の浮気調査でも……って、俺の彼女は大丈夫ですから!」
「……」
「本当に、大丈夫ですから!」
大丈夫、蛍はそんなことをしないと信じてるぞ。
「……」
「それじゃ、飯でも奢ってください。それでチャラで」
そう言って渡貫さんと牛丼屋に行こうとする途中で穂積さんと宇佐川さんに会った。
「これから渡貫さんと牛丼屋で朝定食でもって話してたんですけどお二人も行きますか?」
穂積さんと宇佐川さんは顔を見合わせて
「そうだな」
「行こうかなー」
四人で牛丼屋に行ったらいきなり渡貫さんがメニューを手にとって店員さんに指差ししていた。
「渡貫さん!なんで朝から飲もうとしてるんですか!」
早朝から!?しかも外で!昨日あんな目にあったばかりなのに!
俺が責めたら渡貫さんはしょぼんとおとなしくなったと思ったら下を向いたままニヤリと笑って
「わかっちゃいるけどやめらんねぇ」
「「「喋った!?」」」
初めて渡貫さんの声を聞いた記念だと宇佐川さんが嬉しそうにビールを注文しやがった!穂積さんも止めないし!
まったく本当にこの人達は……




