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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物』大学編
178/251

第32話


 ジャラジャラ……


 今日は、ごく一般的で健全な大学生らしく、同じアパートの先輩の部屋にて麻雀牌を囲んでいる。勿論、貧乏アパートに全自動雀卓なぞあるわけないので炬燵の机に麻雀マットを敷いた手積み麻雀だ。


 俺は別に麻雀好きではないのだが、頭数が足りないからといわれたのと、参加したら何か食わせてやると穂積さんに言われたので参加することにしたのだ。


 「あれ?頭数足りてるじゃないですか?」


 部屋にやって来たら穂積さん、渡貫さん、宇佐川さんに、ナムさんがいた。ちなみにナムさんとは留学生だ、なにげに俺が良く世話係りになることが多い。それというのは……死に戻る前の『組』の時代に東南アジアの人との秘密の取引の為に龍崎さんに向こうの言葉を覚えさせられたので、ちょっとだけナムさんの母国語で話せるのだ。


 「あぁ、宇佐川は見物だ」


 「え?宇佐川さんが打たないんですか?意外ですね」


 「……宇佐川が入ると勝負にならない。まして渡貫と手を組んだら会話もなく『通す』んだぞ!?やってられん!」


 「ははは……」


 「ふふっ、疲れたらいつでも代わるよー」


 宇佐川さんは俺の後ろに座り、笑顔で手を振っていた。


 ☆☆☆☆☆


 「……おい!睦月!」


 「なんですか?」


 「さっきからブツブツ呟いているのを止めろ!」


 「え?穂積さん、俺は何も話してませんよ?」


 「……話してはない?日本語ではだろ!?ナムの母国語で『通し』てやがるな!?クソッ、どうしてどいつもこいつも真っ当な麻雀ができないんだ!?」


 「ははは……」


 ☆☆☆☆☆


 「そろそろ宇佐川さん、代わってくださいよ。腹へったのでカップ焼きそばでも作ります」


 「はい、はい」


 宇佐川さんに席を譲り、他の方々の注文を聞く。


 「カップ焼きそばは犯罪だよなぁ、あのソースの匂いを嗅いだらどうしても食いたくなる」


 「それ、ロン」


 「ぐわゎ!宇佐川っ、マジか!?」


 「……」


 ☆☆☆☆☆


 「それじゃ、俺は抜けますね」


 明日があるからと睦月は先に抜けて自分の部屋に戻っていった。


 「……宇佐川、睦月の打ち方はどうだった?」


 睦月の後ろで見ていた宇佐川に睦月はどんな打ち手だったか感想を聞いてみたら


 「うーん、まぁ、普通かなぁ。でも何も賭けてなかったからねぇー。もし何か大事なものを賭けていたら……睦月君とはやりたくないなぁ」


 「やりたくない?何か賭けたら強そうか?」


 「ふふっ、強いと思うよ?場外も含めたら誰も勝てない気がするねぇ」


 場外?勝負に勝つために人質をとって脅したり、一瞬のすり替えの時間を作るためにブレーカーを落としたりとか?そんな漫画みたいなことを思い浮かべ


 「……なんでみんな普通に麻雀で楽しめないのかなぁ」


 俺がそう呟いて溜め息を吐いたら、宇佐川も渡貫もナムの奴も苦笑いしていた。全く、どいつもこいつも困った奴等だ……

 

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