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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第16話


 もうすぐ中間考査、放課後少し残って勉強しようと蛍と空き教室に行く。

 

 「……それで蛍が苦手な科目はなんだ?」


 蛍の勉強をみるにあたって得意不得意を尋ねてみた。


 「……暗記物とか苦手です……頭が悪いから……」


 「……頭の良し悪しじゃなく、多分、要領の問題だと思うぞ?」


 曲がりなりにも一応は進学校のこの学校に入れたのだからやり方次第だと説明し。


 「……暗記物を机の前でやろうとせずに移動時間にやるようにすれば良い」


 具体的な方法としては切れ端のメモに英単語と日本語の意味を2単語だけ書いてチラ見しながら通学、帰宅の時に頭の中で呟きながら歩く。


 「……単語帳を見ながらではなくですか?」


 「一度にいくつも覚えようとしても難しいぞ、一日に二つ覚えれば三年間で大学受験の有名な英単語集の1900は足りるはずだ」


 「……なるほど」


 「……他は日本史か?日本史は頭の中に棚を作るようにすれば良い」


 「……棚ですか?」


 「……普通、まずは『時代』で分けるだろ?『奈良』『平安』『鎌倉』……とか。それを更に細分化してその時代の中心の『人物』で棚を作り、その棚の中にどんなことが起こったかを埋めていく。それを順番に並べれば良い」


 「……『人物』ですか?『徳川家康』とか?」


 「江戸時代はそうだな、徳川15代将軍を全部空で言えるようになれば、あとはこの将軍の時にはいくつ覚えることがあるとノートに書き出せば良い。鎌倉時代以前は歴代天皇名で棚を作ると楽だぞ。俺は鎌倉時代までは空で言える」


 「……本当ですか?」


 「……きんめい、びたつ、ようめい、すしゅん……(中略)……ごほりかわ!どうだ?」


 「……合っているかわかりません、でも凄いです」


 「……まぁ、先ずは流れだけなら日本の歴史の漫画を読めば良いと思うぞ、古文も『源氏物語』を漫画で読んでおけば内容はわかるんだからオススメだ」


 「……先輩は頭良いです。やっぱり進学するんですか?」


 ……死に戻る前は……進学せずに叔父の所に行った。


 「……どうだろうな?」


 「……進学するなら教えてくださいね」


 私も頑張りますからと蛍は言うが……俺はこの先どうなるんだろうな。自分でもわからなかった。

 


 

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