表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/30

第2話 3/1 ケンジ

3/1(日)



 今日は、ひたすら結婚式がキャンセルになった電話をかけ続けている。


 部屋に置いてある鏡に映る自分を見る。

 ラベンダーアッシュの色をした髪は、艶がなくなってぼさぼさになっていた。

 うう、ひどい顔……。化粧も落とさずに寝ちゃったから、一夜にして肌がぼろぼろになってしまった……。元に戻すのは、大変だというのに……。


 今日は、もう家から出る気がない! というか、出れない! 出る時間がない! 

 とにかく電話参り!

 

 というわけで、今日は楽な恰好で過ごすことに……。

 白い地厚の生地で出来たフーディに、軽い素材で出来たミントグリーンのシフォンスカートを合わせる。

 フーディが、人恋しい私を温めてくれているわ……。


 そうこうしていたら、スマホが光っていた。

親友のユリからの電話だ。

 

『もう、変な男だったね! 次行こう、次! 結婚式場のキャンセル代とかは、全部相手持ちなんでしょ? 慰謝料、いっぱいせしめようよ! それで、最近できた噂の高級レストランに一緒に行こう!』


「行こう、行こう! 今日は、せっかくの日曜日なのに、ずっと結婚式なくなりましたって、電話かけてばっかり! 電話のたびに理由を聞かれるけど、振られた理由とか言いたくないし! もう、本当に嫌になっちゃう~~!」


『なんか、彼氏にいい人いないか聞いてみるから、元気出して、ね!』


 ユリは、高校時代からの親友だ。いつも恋愛の相談なんかにのってくれる。

 はあ、ユリは彼氏と仲が良さそうで、本当に羨ましい。

 昨日までは、私も幸せ気分だったのに~~。

 本当に、一日違うだけで、天と地の差だよ~~。

 

ユリとのスマホを切る。

 なんだか、身体がぎしぎしすることに気づいた。


そう言えば、昨日は、命からがらマンションに帰って来たんだった。

あまりのショックで、玄関先で寝ちゃってたから、身体のあちこちが痛い。

はあ、マンションの管理人さんにも声をかけなきゃ。明日また電話かけようかな。



「はあ、どこかにいないかな、私の運命の王子さま……」



ため息をついていると、またスマホが光る。

登録のない電話番号だ。

出るのやめよっかな。


あ~~、でも、大事な用事かも。



とりあえず、スマホの画面をスライドさせて電話に出ることにした。


「もしもし。どちらさまですか?」


「お! マドカ、久しぶり~~、俺だよ、俺、ケンジ!」


 なんと、出て来たのは、中学時代に付き合っていたケンジだった。

 話を聞くと、結婚式に呼んでいた女友達から、私が破談になった話が回って来たらしい。


 地元は、噂が回るのが早いな! 


 同窓会に行きづらいわ!


 ケンジが、話を切り出した。


「マドカ、良かったら、火曜日に会わないか?」


「え?」


「嫌だったら、いいんだけど」


「う~~ん、そんなに言うなら、会ってもいいかな?」


 と、いうことで、火曜日に元カレに会うことになりました!


 とにかく、誰かに話を聞いてもらいたい!


 私、幸先良いのかな?


 あれ? まさか、ケンジが私の運命の王子さまだった……?!


 少しだけ、元気が出て来たかも~~。


 と、いうことで、明日の職場、考えるだけで憂鬱だけど、なんとか頑張っちゃうぞ!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ