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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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第78話 言い訳は、よくない。

        ◆◆◆


 相手にプレッシャーを与えるために出てみましょうか。


 そういう話になり、会談にはスフィーダも同席することになった。


 城内の一室。

 純白のクロスが敷かれた長いテーブルを挟んで、両国の代表が並んだ。


 プサルム側の真ん中の席についているのは、首相のアーノルド・セラーだ。

 彼の左にスフィーダ、彼女のさらに左にはヨシュアという配置である。

 もちろん、外務大臣をはじめとする関係者の姿もある。


 イェンファ側の中央に座っているのは、ミチル・ハガネ大統領だ。


 ミチル・ハガネ。

 女性にしては背が高く、ヘアスタイルは白髪のショート。

 ねずみ色のスーツを着こなしており、小さな眼鏡をかけている。

 事前に聞かされた情報によると、年齢は六十五。

 スマートでシャープな人物。

 そんなふうに映る。


「では早速、今回の蛮行について、ご説明をいただけますか?」


 口を切ったのはアーノルドだ。

 蛮行という強い言葉を使ったことから、しっかり主導権を握ろうとしていることが窺える。


 ミチルは「まずは謝罪いたします」と述べて頭を下げると、「亡くなられた方々の、ご冥福をお祈りいたします」と続けた。


 それを受けアーノルドは「謝るだけなら簡単です」と言い、「定型的な文言を並べられても、なにも響いてはきません」と厳しい言葉を発したのだった。


「残念です」

「なにが残念なのでしょう? 我が軍の兵の命が失われたことですか? それとも、自らの言葉が私どもに伝わらないことがですか?」

「セラー首相、こちらにも言い分があります」

「伺いましょう」

「我々の目的はブレーデセンだけでした。貴国にまで手が及んでしまったのは、完全に軍部の暴走によるものです」

「それは言い分ではありません。言い訳です」

「自身の無能さ、無力さをうたってしまっていることについては自覚的です。だからといって、嘘をつくわけにもいかないでしょう?」


 ミチルは口元に笑みをたたえた。


 スマートでシャープ。

 その印象は訂正しなければならない。

 コイツは間違いなく姑息で狡猾な女だ。


「賠償はいたします。経済制裁をしていただいてもかまいません」

「ハガネ大統領、それはいくらなんでも無礼な物言いではないでしょうか。損害賠償は当然のこととして、経済制裁なんてほとんど意味がないでしょう? 我が国と貴国との交流自体が希薄なのですから」

「でしたら、我々にどうしろと?」


 本当に頭と舌がよく回る、ずる賢い女だ。

 イェンファの他の代表らも、揃って優越感に浸っているように見える。

 主導権を奪った気になっているに違いない。


 しかし、なんといっても、アーノルドはプサルムの首相なのだ。

 そうそう簡単に言い負かされる男ではない。

 実に毅然とした態度、口調で、「私どもの要求。それは、賠償、及び、貴軍のブレーデセンからの撤退です」と告げたのだった。


 意外だったのだろう。

 ミチルの右の眉尻がぴくりと動いたのを、スフィーダは見逃さなかった。


「ブレーデセンの件は、この場においてはまったく関係がないのでは?」

「道徳的な観点から申し上げています。我々にはブレーデセンを手厚く支援する準備があるということです」

「なぜ、今になって、そのような動きを?」

「道徳的な観点によるものだと申し上げました」

「やはり、我々は蛮族だと?」

「要求が受け入れられない場合、我が軍は貴国に攻め入ります。無論、あなた方と違って、宣戦布告はいたしますが」

「そんなこと、不可能でしょう? セラー首相。なんのための民主国家だと?」

「それは貴女が気にするところではない。


 いよいよミチルの顔がゆがむ。

 忌々しいとでも言いたげな表情になる。


「一旦、持ち帰らせていただいてもよろしいですか?」

「かまいませんが――」

「承知しています。返答はなるべく早く――」

「なるべく早くでは困ります。七日以内にご返答願います」

「……わかりました」




       ◆◆◆


 五日後、正式な返答があった。


 一括での賠償は難しいので、分割にしてもらいたい。

 ブレーデセンから、即時、兵を撤退させる。


 以上の二点が、イェンファから示されたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ルフラン~更新話まで拝読。 アーロンキャラクター濃ゆいですが教祖らしかったです。 スフィーダと平行線なところが、二人のやりとりで伝わってきました。 「必要悪は必要悪」にて、激昂することもあ…
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