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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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第538話 シュンレイ・コンス、その三。

       ◆◆◆


 昼食後、スフィーダは玉座の上にいた。

 左隣に立つヨシュアと雑談していたのである。


 そこにヴァレリアが訪れた。


 豊かな茶色い長髪。

 挑発的な目元。

 洗練されたスタイル。

 今日も妖艶だ。


 ヴァレリアは片膝をつき礼を尽くすと、ヨシュアのゆるしに従い、立ち上がった。


「ララ氏は?」

「閣下、それをあえて述べる必要が?」

「なにせ陛下がいらっしゃいますので。報告しなさい」

「速やかに殺害しました。事後、帰さないという構えを見せられたので、他の兵も焼きました」

「わかりました。ご苦労でした」


 どことなく悲しげな笑みを向けてきたヴァレリアである。


「かわいそうでしたね。かわいそうだった。そういうことでございます」

「敵兵が?」

「はい。上役を、ララ氏を信じ、また敬っているようでしたから。さぞ悔しかったことでしょう」


 ヨシュアは二度、三度と小さく頷いた。

 一方で肩を落としたスフィーダ。


「むなしいのぅ。なにがそこまでララを掻き立てたのか」


 ヴァレリアが「彼女もまた、戦士だったのでしょう」と言った。

 続いてヨシュアが「ともあれ、これでグスタフは静かになります」と口にした。


「おまえは相も変わらずドライじゃの」

「割り切れなければ大将などやっておりません」

「まあ、そうなのじゃろうが」

「ただ、嫌ですね」

「なにがじゃ?」

「曙光が海を、百年水道を渡って我らがローラ大陸に攻め入ってきた場合、グスタフは矢面に立たされることになります。その際はどこまで支援できるのか。各国との調整を含め、難しい課題です」

「戦うのか否かということか?」

「戦うのは当たり前のことです。誰が戦うのかが問題です」

「わしらがやるしかないじゃろう?」

「そうですね」


 ヨシュアは苦笑じみた表情を浮かべた。

 するとヴァレリアが「我が国が主導的に曙光へと攻め入ることはしないのですか?」と訊ねた。


「大尉、貴女らしくない発言ですね」

「おや。私が意外と好戦的であることはご存じだと思っておりました」

「こちらからなにかをすることは、現状、タブーだと考えています」

「機会を窺っている。そのように聞こえなくもありませんが」

「あまりいじめないでください」


 額に右手をやり、ゆるゆると首を横に振ったヨシュア。


「えてしてうまく回らないのが世の中というものではありますが、ここまで不確定要素が多いと頭が痛くなりますね。私が生きているあいだに、いったい、どこまでできるのか」


 ヴァレリアは微笑んだ。


「閣下が弱気の虫を飼われてしまうと、あるいは世界の趨勢に関わるかと」

「プレッシャー、ですね」

「戻ります。今日も部下に稽古をつけてやらければならないので」

「ええ。これからの働きにも期待します」


 スフィーダは「ヴァレリアよ。また会いたいぞ」と告げた。


「その折はお呼びください。プライオリティを上げて対応いたします」

「そなたは立派じゃ」

「恐れ入ります」


 立礼すると颯爽と身を翻し、ヴァレリアは去っていった。


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