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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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512/575

第512話 テロと薔薇。

       ◆◆◆


「わしにはわからん……」


 そんなふうに、スフィーダはのっけから弱音を吐いた。


「なにがわからないのですか?」


 玉座の脇からそう訊ねてきたのは、やはりヨシュアだ。


 スフィーダはあっという間に、目に涙をためる。


「テロは理解できんのじゃ。どうしてじゃ? 話し合う余地など、いくらもあろう?」


 ヨシュアは肩をすくめてみせた。


「話し合いで済むなら国すら必要ありません。ご理解くださいませ。誰も傷つきたいとは考えておりません。ですが、誰かが傷つく必要があるのが世の中なんですよ」

「わしはそんなの嫌じゃ。気持ちが悪くなるから嫌じゃ」

「陛下が個人的に気持ち悪い思いをする。それを世界の趨勢と比べないでくださいませ」

「じゃがっ!」

「怒りますよ?」


 そう言われてしまうと、ビクッと身を引くしかない。


 ヨシュアは天井のほうに目をやった。


「どうあれ陛下が正しいのです。私はそれを成すためのお手伝いしかできません。本当に、私はどこまで無力なのでしょうね」


 スフィーダはグスグスと鼻を鳴らしている。


「テロリストの話じゃ。無力化できるか?」

「できないから、軍や警察は困り果てているんですよ」

「じゃったら」

「はい。誰かが仕留める必要があります」

「たとえば、フォトンか……?」

「そうですね。ヴァレリア大尉かもしれません」


 スフィーダは顔を上げ、改めて鼻をすすった。


「どうしてじゃ? どうしてこんなにもヒトはあっけなく死んでしまうのじゃ? まるで薔薇の花びらが散るかのごとく……」

「そこに潔さを見る者もいます。薔薇としてのせいを謳歌するのか、もしくは薔薇らしくはかなく花びらを散らすのか、その点は自由だと考えます。要は私どもの対応の仕方次第なんですよ」

「それは悲しい。あまりに悲しい判断じゃぞ」

「そうお思いでしたら妙案を。ネタとなれば一考いたします。しかしながら申し上げます。やはり薔薇は散り際がもっとも美しい」

「偉人の言葉か?」

「いえ。今、私が作りました」


 ヨシュアは意地悪だと、スフィーダは思う。


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