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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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299/575

第299話 いよいよ国境をまたぐ段。

       ◆◆◆


 ヨシュアから、ハイペリオンの地ならしが済んだという報告を受けた。


 地ならし。


 つらくてキツい言い方なのだが、その表現が最も的を得ているし、わかりやすい。


 今日は土曜日。


 謁見者が訪れるウィークデイと比べると、ずっとずっと暇なのである。


 昼食後、口元をナプキンで拭いながら、スフィーダは「そろそろかのぅ」と口にした。


 するとヨシュアが、「はい。そろそろでございます」と言った。


「準備は? できておるのか?」

「整っております。もはや、ブロウ・ブルース大佐の喉元が見えるにまで至りました。あとは断罪して差し上げるだけでございます」

「レオとカーニーは? それと、フォトンとヴァレリアは?」

「レオ准将以下は、いつでも最後を突きつける位置にあります。フォトン隊に関して言うと、彼らはいつでもなんでもできる戦力であり、そうであることがすべてです。常に臨機応変ですよ」

「ブロウのひとりよがりも、もはや終焉か」


 スフィーダはそうつぶやく。

 独裁政治、あるいは政権の終わりは、はなはだむなしいものであるように感じられる。


「ハイペリオンに入りましょう。ケリをつけましょう」

「ブロウめが命乞いを求めてきたらどうするつもりじゃ?」

「これまでの蛮行を認識させた上で連行、やはり断罪します」

「そのやり方は、あるいは傲慢と呼べるのではないのか?」

「ヒトの相手はヒトがする。ヒトの罪はヒトが罰する。それが当然だと申し上げたつもりですが?」

「ブロウには救いの道すらないのじゃな」

「とっとと片づけを済ませましょう。曙光が増援を寄越す可能性もないわけではないのですから」

「そういえば、そうじゃったな。ハイペリオンにはないはずのおもちゃがあるという話じゃったな」

「そういうことでございます」

「もはや、やむなしか」

「今だからこそ思うのです」

「なんの話じゃ?」

「ブロウ大佐はなにを求めていたのでしょうね」

「国土の拡大ではないのか?」

「それを成したところで、運用がいい加減なものであれば、そのうち、市民からも不満が噴出します」

「そうか。そう考えると――」

「はい。ブロウ大佐は、自ら破滅の道を選んだとしか判断のしようがない」

「悲しい話じゃの」

「そうも感じます。もう一度、改めて、最終確認として、答えを聞かせてもらう所存です。レオ准将が言うところの、クソガマガエルに」


 スフィーダは「うむ」と答え「どうあれ見届けねばなるまい」と続けた。


「ブロウ大佐が強気に出てくれれば、助かるのですが」

「だが、やはり断ずるのじゃろう?」

「矜持を見せてもらいたいという話です」

「矜持か。聞きようによっては、厳しい言葉じゃの」

「なにが正しくて、なにが間違いで、あるいはなにが適切なのか。そういったことで迷うケースが、私にも多々ございます」

「本当か? おまえらしくもない」

「私の目標とは、なんなのでしょうね」

「恒久的な平和ではないのか?」

「著しく戦闘的な私も、またいるんですよ」


 ヨシュアはそう言って、笑みを見せた。


「ハイペリオンの、一国の最期です。見届けましょう」

「わしは潔さが見たい」

「同感でございます」


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