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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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244/575

第244話 不死者らの扱い。

       ◆◆◆


「くだんの見えざる島についてですが、ダークロードが死んだことにより、ヴェールが剥がれたわけです。近隣に住むニンゲンは、島がいきなり浮上してきた、あるいは島が異世界から転移してきた等、諸説をうたって、ざわついているようでございます」


 夕食後のティータイムにヨシュアがもたらした情報はそれだった。


「結局、見えるようになった見えざる島は、どうなるのじゃ?」

「曙光が直轄地とするようです」

「まさかそうした上で、骸骨の兵をあちこちに寄越すのではあるまいな」

「具体的にどう扱うかは不明ですが、彼らに寿命はないわけです。徹底管理の上、貴重な戦力として、住まわせたままにしておくのかもしれませんね」

「そのへん、曙光はちゃっかりしておるのぅ。たとえばネフェルティティじゃったら、醜いの一言で焼き尽くしてしまうことじゃろうに」

「案外、名より実を取るかもしれませんよ?」

「それならそれでよい。まずは我が国を守ることが大事じゃろう?」

「その通りでございます。それにしても、得体も底も知れませんね。やはり曙光は脅威です」

「じゃな。かの国の、ダインの考えは、まるっきりわからん」


 優雅に紅茶をすすったヨシュア。


「ダークロードの一件、彼のせいで亡くなった人々には本当に申し訳ないのですが、私は少々楽しんでしまいました」

「強者の物言いじゃの。おまえの敵となれる者は多くない。だからこそ、高揚感のようなものが得られたのじゃろう」


 スフィーダもカップに口をつける。


「先のオベリスクと同じく、ダークロードもまた、寂しく、悲しい王だったのかもしれませんね」

「わかり合える者などおらんかったことは事実じゃろう。仮に奴と友人になれる可能性があった存在を挙げるとするなら、それはわしのような人外じゃ。気持ちはわかるのじゃ。孤独であるがゆえに、他者を傷つけることで、自らの意義と立場を確立しようとする」

「合点がいく話でございます。ところで陛下。なにかお忘れではありませんか?」

「なんのことじゃ? わしがなにを忘れておるというのじゃ?」

「フォトンのことですよ」


 そう聞かされ、はっとなった。

 途端に気が気でなくなるスフィーダである。

 ダークロードの渾身の一撃を体一つで食い止めてみせたわけだ。

 戦闘後、服はぼろぼろながらも平然としているように見えたが、実は重傷だったのだろうか……?


「ヤ、ヤバいのか? 病床でうんうん唸っておるのか? それとももう死にそうだったりするのか?」


 スフィーダの目にはじわりと涙が浮かぶ。

 すると、ヨシュアはぺろっと舌を出してみせて。


「冗談でございます。今朝方、なんの問題もなく任務に戻りましたよ」


 スフィーダは目を吊り上げ、ぷんすか怒る。


「悪い冗談じゃ。次にやったらゆるさんからな」

「承知いたしました」




       ◆◆◆


 プールサイドには柵がない。

 だから、基本的に侍女の出入りは禁止にしている。


 そんな不自由をこうむるくらいなら柵を設けろという話なのだが、あいにく、開放的な造りであることを、スフィーダはことのほか気に入っている。


 ドレス姿でプールサイドの端に立ち、夜風を浴びる。

 いい風だ。

 ちょうどいい具合にぬるい。


 眠くなるまで突っ立っていようと思った矢先に、隣にヒトが並んだ。

 突然のことだったので、スフィーダの肩はビクッと揺れた。


 ヴァレリアだった。


 今夜の衣装もいつも通り、魅惑的なもの。

 黒の魔法衣姿ではあるものの、スリットは大胆に腰にまで至っており、長く肉感的な脚は、黒いレースストッキングに包まれている。

 著しく豊かな胸のふくらみは隠しようがない。


 美しいブラウンの長髪。

 蠱惑的な流し目。


 ヴァレリアは口元に笑みをたたえたまま、「ご無沙汰しております」と挨拶の言葉を寄越したのだった。


「ヴァレリアよ、気配を消して近づくのはよせ。びっくりするじゃろうが」

「びっくりさせようと考え、訪れたのです。目的は達成しました」

「どこまで本気なのか、どこからが冗談なのか、図りかねるぞ。して、フォトンはどうした? 元の仕事、北の任に戻ったという話じゃったが」

「はい。とっとと帰ってきました」

「やはり移送法陣を使ったのか」

「少佐はせっかちです。その上、めんどくさがりでございますから。かく言う私も、ここに来るにあたって使用したわけですが」

「今宵も抱かれるのか?」

「その予定です。少佐が気乗りすればという条件はつきますが。というか、陛下」

「なんじゃ?」

「最近は色気のある話を平然と持ち出されるようになったのですね」

「恥ずかしいときもある。だが、今は気分がよいのじゃ」


 スフィーダは両手を広げた。

 改めて、風に身を晒す。


「とはいえ、ときに考える」

「なにをでございますか?」

「肉体的なつながりがあってこそ、本当の絆が生まれるのやもしれん」

「お言葉ですが、陛下、私はそうは思いません」

「ほぅ。どうしてじゃ?」

「私からすると、少佐は少し遠く感じられます。だからこそ、触れ合っていないと不安なのでございます」

「互いに不自由な身じゃのぅ」

「本当に、その通りでございます」


 スフィーダは夜空を見上げ、フォトンという稀有な存在に思いを馳せる。


「フォトンめは、今頃、どうしておるかのぅ」

「寝ていることだろうと予測します」

「じゃな」


 欲求に素直なフォトンのことだ。

 暇を持て余すくらいなら、眠っていることだろう。


 深く深く、眠っていることだろう。


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