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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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242/575

第242話 油断。

       ◆◆◆


 いつでも炎の竜を放てるよう両手を後ろに引き絞ったまま、バリアを張る。

 それはスフィーダ自身を中心に据えた、球を成している。

 通常の薄紫のものではない。

 触れた相手を瞬時に焼き尽くす、灼熱の火をまとった障壁だ。

 彼女に対して近距離での戦闘を試みた者は、途端に灰と化す。


 スフィーダはバリアの前方にだけ、穴を設けた。

 そこから炎の竜を一体ずつ放った。


 つい、拍手しそうになった。

 見事だ。

 ダークロードは氷の狼で竜を相殺してみせたのだ。


 だてに”不死者の王”を名乗ってはいない。

 そこそこ強いのだ。


 そう。

 そこそこでしかない。

 魔女の力を前にしては、ダークロードのきらめきも色褪せたものとなる。


 スフィーダは左右の手でボールでも放り投げるようにして、炎の竜を連発する。

 ダークロードはやはり氷の狼で迎撃するものの、やがては火力に押され、バリアで受けざるを得なくなった。


 なにせ魔女の攻撃だ。

 完全に凌ぎ切るなんてことはできっこない。

 だからダークロードは、後方に退きながら、幾重にもバリアを展開する。


 当然、炎の竜は突き進むことををやめはしない。

 順繰りにバリアに噛みつき、その一つ一つを食い破ってゆく。

 このままの状況が続けば、間違いなく力で押し切ることができるだろう。


 少々余裕ができたので、振り返ってみた。


 低いところで、ヨシュアがあかぞなえの相手をしている。

 一方、高いところでオスカーとぶつかり合っているのはフォトンだ。


 問題はないように見える。

 フォトンと互角に渡り合っているオスカーのことが多少は気になるが。


 振り返ることをやめ、正面に向き直る。


 炎の竜に左腕を食いちぎられたダークロードが「グオォォォッ!」という重低音の悲鳴を上げたところだった。


 だが、まだ骸骨の魔法使いが多く残っている。

 離れたところから、ちびちびとしたみみっちい攻撃を仕掛けてくるのだ。


 それがうっとうしいから、スフィーダは両手を左右に広げた。

 バリアを完全に解除。

 両手から糸を引くような赤い光線を放ちつつ、駒みたいにくるりと一回転した。

 すると、周囲の敵は光に焼かれ、あっという間に消失したのだった。


 宙を滑るようにして、スーッと前進したスフィーダ。

 ダークロードに声が届く位置にまで至る。


「チェックメイトじゃな」

「いいや、そうでもない」

「ほぅ。この期に及んで強気なことじゃの」

「強気なだけではない。後ろを見てみろ」

「なに?」


 振り返るなり、スフィーダ、びっくりしてしまった。

 五メートルもない先に、オスカーが浮かんでいたのだ。

 魔法で作り出したであろう銀色の剣を、まさに振りかぶっているところだった。


 咄嗟のバリア。

 間に合った。


 バリアが剣撃を封じた。


 次の瞬間、まずいと感じた。

 ダークロードに攻撃のいとまを与えてしまった。


 至近距離でオスカーの攻撃を遮りながら、前に向き直った。

 口をがぱっと開けているダークロードの姿があり、白い光線がすぐさま迫ってきた。


 今度という今度は間に合わない。


 ここで死ぬ?

 死ぬのか……?


 恐怖を覚えた。

 死というものが、怖くなった。

 それでも、目を逸らすことなく受けてやろうと思った。

 矜持は捨てない。

 それは揺るがない決意だ。


 しかし、光線で目の前が真っ白になりつつある中、とてつもないスピードでヒトが割り込んできて……。


 スフィーダは叫ぶ。


「フォトン!」


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