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死神腕の少年剣士  作者: 風炉の丘
【3】護る! 守る!! まもる!!! マモル!!!!
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3-5 勝手に守護者(オートマ・ガーディアン)

「"勝手に守護者オートマ・ガーディアン"? つまり……あの怪獣が、ばーちゃん達の造った"守護者"なの?」

「そうだよ、シロ坊。ちなみに名付け親はアタシじゃないからね」

「それは分かるけど……。ねえばあちゃん、あれって何を護る"守護者"だったっけ?」

「厳しいツッコミだねぇ。あれはあくまで、睡眠中の一個人を護る"守護者"さ」

「え~~~」

「分かってるよ。分かってるさ。あの子が大きく育ちすぎたって事はね。でも、それ自体が今夜の実験の目的だったんだよ」

「大きく育てる事が?」

「正確には、強く育てる事かねぇ」

「育てる…。育てる?」

「育てるが判りにくいなら、修行って言えば分かるかい?」

「修行! 強くするための修行! それなら分かる気がする!」

「今こそあんなデカブツになっちまったけど、最初はね、掌サイズの風船玉だったんだ。ちょっと可哀想だけど、そんなあの子を攻撃する。最初は見た目通り弱っちいからね。簡単に爆発四散さ」

「そりゃあ、確かに可哀想だね」

「それから1分間、あの子は考えるんだ。どうして負けたのか。どうすれば負けないのか。最適解は何かってね。そして1分後にあの子は再生する。前より強い子になって復活するのさ」

「復活に1分もかかるんじゃ、眠ってる人を護れないよ」

「今はあくまで実験だからね。敢えて休憩時間を用意しているのさ。実際には"守護者"が攻撃を受けるか倒された時点で、主を起こすように設定すると思うよ」

「そっか……。じゃあ、話を続けて」

「倒す、1分の休憩、強くなって復活。これを何度も繰り返したの。ほとんど瞬殺だったけど、それでもどんどん強くなっていくのが分かったよ。アタシ達はそれが嬉しくてね。つい調子に乗ってしまったのかもしれない。

 姿が変わり始めたのは30世代あたりからかねぇ。攻撃を担当していたグリゴリの心を探るかのように、次々と変化していた。そして49世代目。ついに今の姿、"イマジネ・ボレアス"へと辿り着いたってわけ。グリゴリは悲鳴を上げて逃げ出すし、他の魔道士も怖がって手が出せない。グリゴリが魔法攻撃を続けたせいで、究極の魔法耐性を身に付けちまったから、アタシ達ではお手上げなんだよ」

「だから、ボクなの?」

「そうだよ。あの子は物理攻撃の耐性が無いし、死神腕は更に想定外だからね。二弾構えの攻撃が期待できるでしょ」

「でも……」

「ボクが"イマジネ・ボレアス"を倒しても、1分後に復活しちゃうんでしょ? それって意味あるの?」

「その1分間に意味があるのさ」

「休憩の1分間に?」

「最初にシロ坊に話しただろう? 今回の任務は人命救助だって」

「ああ、そういえば……。でも、どこに助ける人がいるの?」

「もちろん、あそこさ」


 ベルトチカ老師が指さす先には、"イマジネ・ボレアス"がいた。実験場の中央にしゃがみ、何かを護るように、身体と尻尾でグルリと囲んでいる。なんだ? 何を護っている? 窓に張り付いて目を凝らすが分からない。

 そこでベルトチカ老師が筒型の単眼鏡を差し出す。受け取ったシロガネは、ようやく"イマジネ・ボレアス"が護るものの正体を知った。

「あれは…棺? 石棺?」

「ちょっと悪趣味だけどね、もしもの時、被験者を護るには、頑丈な石棺が一番だろうってね」

「じゃあ、あの中に人が入ってるの?」

「そうだよ。あそこにいるのさ。シロ坊に助けてほしい人が」

「………ばあちゃん。説明、お願い」


「眠っている最中の主を護る。それが「"勝手に守護者オートマ・ガーディアン"の目的だよ。つまり、発現実験のためには、術式の詠唱の後、被験者に眠ってもらう必要があるのさ。だから今回の実験も、被験者に眠り薬を飲んでもらっているの。実験は滞りなく進んだし、グリゴリの醜態も楽しいハプニングだった。こうして予定の1時間が経過した。問題に気付いたのはここからさ。

 被験者が目を覚まさないんだよ。

 睡眠薬の効果には個人差があるからね。予定時間より早く目覚めることもあれば、遅いこともあるさ。でもね、予定を三時間オーバーしても、被験者は一向に目を覚まさないのさ。原因は不明。可能性は色々考えられるけど、最悪は睡眠薬の量を間違えた可能性だね。良薬とて過剰摂取すれば毒になる。睡眠薬を飲み過ぎて永遠の眠りに…何て事もあるんだよ」

「睡眠薬……。でも薬の問題なら、解毒の魔法でどうにかなるんじゃないの? ここって魔道士だらけなんでしょう?」

「そうなんだけど、アタシらでは近寄ることすらできないからね」

「ああ、そうか……」

「"勝手に守護者オートマ・ガーディアン"は、六時間過ぎた今も発動中。近づく者全てを敵と判断して、容赦ない攻撃を仕掛けてくる。その名前の通り、勝手に被験者を護り続けているのさ。皮肉な話だよ。そのせいで被験者の命が大ピンチなのだもの」

「ええっと、その……ヒケンシャさんを助けるには、どうすればいいの?」

「最初に"イマジネ・ボレアス"を倒すだろ。復活するまでの1分間の間に被験者を起こす。そうすれば、"守護者"は消えて万事解決さ。本気のシロガネならきっと簡単だろうよ」

「本気……本気って」

「ここは魔道士だらけだからね。再封印ならお手の物さ」


 つまり、封印を解放しても良いってこと。シロガネの心は打ち震えた。

 それは喜びからか… それとも不安なのか…

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