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フシギナフタリ  作者: 君野旬
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何か言えよ

何か思いつきました。

「ねえ、虹って見てみたくない」


 ソファに腰掛け、ファッション雑誌を読んでいた彼女は突然なんの脈絡もない話を始める。僕は無視を決め込み、ひたすら読書に興じる。羅列された明朝体の方が彼女の思いつきの何倍も価値がある。

 彼女はサッと僕から本を取り上げると、低めのテーブルの上に置く。そして僕の両肩に両手を乗せる。擬音語はシュガって感じに近い。割と強引で強め。


「どうしたの」

 仕方がない。僕はそんな感情をふんだんに込めて発音するよう心がけた。

「虹って見てみたくない」

 リピートしたな。

「明日の朝水撒いてくれば。確か明日は晴れ予報だけど」

 彼女は僕に軽蔑の目を向ける。君に軽蔑される筋合いはない。

 彼女が何か言うのを待つが一向に言ってくる気配がない。「考えてみろよ。馬鹿野郎」とでも思っているに違いない。

「今日の夜YouTube見れば。確か君はお試し中のはずだけど」

 言葉の骨組みはほぼ同じ。内容だけ変えてやったぜ。ちなみにお試し中とはYouTubeプレミアムの無料トライアル期間という意味だ。

「......」

 返答なし。それどころか彼女は明らかに馬鹿にするような笑顔を作る。美人でよかったな。というかさっぱり思いつかん。何を言ったら言葉が返ってくるかか。意外に難しいな。

 あっそうだ。

「プッチンプリン食べるか」

「食べる!」

 僕の勝ちだ。

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