表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月兎大亡命  作者: タナカ
11/17

亡命者達の軌跡

今回はキャラクターや今までの流れの紹介といった話です

これは月から逃げた玉兎達の物語である。彼女らは自由を求めて宇宙(そら)から地上へ降り立った。地球の重力(げんそうきょう)は彼女らを月の重力(つきのみやこ)から解放した。


***


 幻想郷にも凍える冬が訪れた。月面とはまた違った寒さがこの星にはあるのだと私、鈴仙・優曇華院・イナバは気づかされた。師走と呼ばれるだけあってかこれから忙しくなりそうだ。


 幻想郷にも私と同じ玉兎が随分と増えてちょっとにぎやかになった。みんな曲者ぞろいだけど悪い子ではない……はず。最初に会ったのは玉兎兵の間でも有名な珊瑚珠色のファルコンラヴィ、緋燕。


彼女は武器に目がなくよくそれらを自分の部屋に飾ってコレクションしているらしく、珍しい武器や初めて見るものを盗んだりして得ている。だから盗人なんてあだ名がついている。それでもずる賢い緋燕は盗む相手を選んでおり、きついお咎めは受けていないよう。故に盗みが悪化していくのでしょうね。でもいざという時は身を挺して仲間を救う勇気ある行動に出られる人なんだよね。あの時撃たれた催涙弾はきついって霊夢が言っていたわ。珊瑚珠色のって言っているのに髪は鮮やかな赤色なのよね、不思議ね。


そう言えば緋燕と会ったときは魔理沙にあらぬ疑いを受けて疲れ果てていたんだ。そう彗青に濡れ衣を着せられてね。


 竜胆色のイントレピッドラヴィ、彗青は地上降下の時に着地場所に魔理沙の庭の薔薇を選んでしまった。それ故に痛みで我を忘れた彗青はその薔薇を庭ごと焼き払ってしまったの。もちろん魔理沙が気づかないわけもなくその様子を目撃した彼女は後ろ姿から私が燃やしたって勘違いをした。それがことの始まり。そのおかげで色々苦労をしてしまった。でも彗青は自分の犯した罪は自分でけじめをつけるため霊夢との一騎打ちに挑む。初見で霊夢からかすりを取る戦いっぷりには私も驚かされた。きっと日々の訓練が役に立ったのでしょうね。緋燕とは特に仲がいいようでいつも一緒にいる。


 彗青と初めて会った時にさりげなく一緒にいたボサ髪の子は柚葉色のイーグルラヴィ、秋翠。なんか私のことを勘違いしていたらしくてトロトロしてそうな身のこなしに反したきれいな敬礼を見せてくれた。私が以前遭遇した清蘭や鈴瑚と同じ部隊だからちょっと警戒していたけどそれは正解であったかもしれない。私が彗青を追い詰めると背後から銃を突き付けてきて撃たれるんじゃないかとすごくひやひやした。その後あの行動はかわいそうな彗青を見ていられなかったからしたそうだ。彼女にも彼女なりの正義があるのだと気づかされた。秋翠のものの速度を操る能力は紅魔館のメイド長に似たようなものを感じたわ。


 その騒動の後に私は師匠から月から降下した玉兎の調査を頼まれた。師匠曰く、大勢での降下は何か裏があるとのこと。正直私も少し怖かった。前みたいに月から使者が迎えに来るんじゃないかと思ったら膝が笑ってしまう。でもそんなことで怯えていては昔の臆病者のままだ。私は恐怖に立ち向かうことにした。


 そんな中、秋翠の知り合いなのか分からないけど四人目の居場所がつかめた。その玉兎は魔法の森の入り口に佇む道具屋『香霖堂』に入り浸っているらしかった。


 濡羽色のスパイダーラヴィ、鋭は道具の解体に目がなかった。その様子はまるで緋燕のようだった。似た者同士で仲良くできそうね。彼女は香霖堂店主をかなり困らせていたところを私と秋翠で発見した。だが未熟な私、先走っちゃって質問攻め。鋭はものすごく不快だったでしょうね。それ故に睨まれたり口論になったりで場の空気は険悪に。そこは秋翠、間に入って場を沈めてくれた。それには本当に助けられ感謝してもしきれない。あれからよく緋燕と一緒にいる姿を目にする。やっぱり気が合うのね。


 その数日後に私は何の突拍子もなく霊夢に呼び出される。実は彼女も賢者から監視の命を受けていたのだ。すでに同じような仕事を引き受けていた私はそれを手伝うことにした。


その後ひょっこり現れたのが獄猫だ。彼女は師匠への手紙を届けに来たのと同時に他の四人の安全な降下の案内人であるらしい。苦労して地上に来た私は何なのかしら。しかも獄猫は私に在るはずのない満月を見せて私をからかったのよ。それに腹が立った私は獄猫が例の部隊、オリオンラヴィの所属でないか調べるために永遠亭へ連れて行った。でも肝心の手紙の内容はわからないし、みんなに馬鹿にされるしでもう散々。もう会うことはないって言っていたからいいけどね。何故かはわからないけど彼女の名前は何かの因縁を感じる……気のせいかしら。


 結局地上に降りてきた五人の玉兎は何の害のない存在だった。これから彼女らは徐々に幻想郷になじんでいくのだろう。忙しかった日々も過ぎ去りそうだったけど、不穏な風がすでに吹いていることに私はまだ気づかない。それはいずれ幻想郷中を吹き荒れる嵐へと進化する。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ