4話
「ルリ!背後に注意して!」
「うん!」
あるダンジョン。
俺とルリは今ダンジョン探索をしている。前衛は俺、後衛はルリが担当した。
剣で蜘蛛系のモンスターを倒して先進した。ただ倒すだけじゃなく、モンスターの動きを把握し、パタンを分析する。
「―――――――ファイアボール!!」
ルリが魔法を発動した。
大きな火の弾丸が蜘蛛たちを殲滅する。ファイアボールは火属性魔法の中でも一番初級の魔法だ。威力は他の魔法に比べると低い。でも、相手は下級モンスター。効果は確かにある。
火の攻撃から生き残った蜘蛛たちが陣営をまた固める前に剣で斬り続く。
こいつらは妙に団体行動が高く為、機を逃すと逆にやられる。つまり、一匹としての能力たいした事ないがそれが複数になると厄介な相手になるのだ。
「――――――ホールディング!!」
ルリの詠唱と同時に蜘蛛たちの動きが封鎖された。敵の動きを制限するバインド効果を持つ魔法クラスがよく使う技だ。
動きが遅くなった蜘蛛をまとめて退治した。
倒された蜘蛛の死体から必要な部分だけを取る。今日のクエストに必要な材料だ。作業を全部終わらしてダンジョンから出た。目的を果たしたらこれ以上ダンジョンにいる必要はない。余計な好奇心でもっと深く入るとより強いモンスターに攻撃されるからだ。
残念なが俺は命を一番大事に思う人だ。むろん、ルリの命も大事だ。
ルリとは冒険者ギルドから提供された寮で一緒に住んでいる。
初めては俺がいないとすぐ不安になって泣く事も多かったが今はどんどん正確も明るくなっている。そして一つ気づいた事があった。
ルリは天才だったのだ。
最初は文字や数字さえ知らなかったのに今になっては魔法さえ使っている。その発端としては俺がルリにくれた本のせいだった。
ルリが字や数字を読めない事を知った俺はある商人に魔法に関する本を買ってルリにくれた。その数日後俺が部屋に入ると俺が買ってくれた本が火で本が燃えていた。
当時、ルリは本が燃えてしまったことで俺に怒られるんを怖がっていた。ルリにどうやって魔法を使ったかを聞くと絵を見て学んだ。と、話した。そう、俺がルリに買ってくれたのは魔法使いを目指す子供用の【絵で学ぶ簡単な魔法異論!】だった。
つまり、異論だ。字も知らない子が絵だけを見て魔法を使ったのだ。
その後、俺は信じがたい気持ちで一度ルリに字と数字を教えた。
ルリはたった三日間で字と数字を全部マスターした。ハンディさんにも話をしたら彼女は【知識を理解し、分析する能力が他の人より何十倍高い】と、結論をだした。
ルリ本人は自分が天才って事を知らない。部屋に変えたらいつも通りでシャワーをして魔法書籍を見る。ただそれだけだ。
俺達は要求されたクエストの材料をハンディさんに渡した。
「クエストの材料は確かに貰いました。今日もご苦労様です。では早速ステータスの確認をしましょう」
「はい、お願いします」
ステータス確認。
つまり自分がどのくらい成長をしたのかを確認する作業だ。
俺とルリが前の鏡に手を出すと画面から二人のステータスが出だ。
「へえ、筋力が上昇しています。そして前衛に必要な能力も全般的に上がりました。うん、順調です」
数字で見ると現実感がないが、確かに初めてダンジョンに行った日と比べると上手くなったのは分かる。無論、ルリが隣で一所懸命にサポートしてくれたお陰だ。
「ルリちゃんは知力系の能力値が上昇しました。でも、あんまり無理して魔法だけ使うと魔力切れになってしまうから注意してね」
「うん!」
こう見ると姉妹みたいだ。最初は俺だけと話をしてたルリが今になってはハンディさんと何気なくは会話をしてる。本当に、頑張ったな。
「そういえば、今日エリシアさんの部屋に新しい冒険者さんが入ることになりました」
「あっ、今日でしたけ」
「はい。相手はある騎士家門の娘さんで、今日から寮でくらすことになっています」
騎士の娘か…、きっとプライド高い性格なはずだ。騎士っていうやつらは規律固い連中が多い。俺は平気だが、ルリが心配だ。はあ、変な人だったらどうしよう。今なら馬鹿親父の気持ちが分かりそうだ。
「あ、着きましたね。あの女の人です」
ハンディさんの視線を追うと一人の女、いや、少女がここに来るのが見えた。
ツーサイドアップの髪型。その髪の毛を風になびいて堂々と歩いてくる。華やかな貴族的服ではなく、全般的に白い雪を思い出す服装。靴は戦闘に特化された軍靴だった。
視線が合っただけでなのに普通の令愛たちとは違うことを分かった。
「あなたが今日から私と一緒に暮らすエリシアですか。わたしはノエル・ルイム・テラント。今後の生活、よろしくお願いします。」
よし!美人と握手だ!
やっほう!これから美人と同じ部屋からご飯をたべて!一緒に寝るのか!お、同じ部屋なんだからパ、パンツくらい見てもいいよね?ねえ!?
頭から陰険な計画を立ている俺に後ろからハンディさんの暑い視線が背中に突き刺さった。
「エリシアさんはルリさんの保護者ですのに…、ま・さ・か、変な事を考えているわけではないですよねえ?」
「あはは、は…」
そうだ。ハンディさんはまだ俺を男だと信じている。たぶん、俺がノエルさんに変な事するのを心配しているだろうな。
でも、安心してくださいノエルさん。
俺、ないですか。
「信じていますよ、エリシアさん。それではノエルさんを部屋まで案内してください。私はルリちゃんと話がありますので」
「はい。ルリ、ハンディさんと話が終わったらすぐに戻ってきて」
「うん」
よし、良い子だ。
たぶんハンディさんはこれから一緒に暮らす俺とノエルさんと関係のためにわざわざ二人だけの時間を作ってくれたんだろうな。やはりハンディさんは優しい。
では、行きましょう。ノエルさん。
「では、お言葉ことばに甘まして」
いや、超礼儀正しい。
俺は階段を上がりながらノエルさんに言葉をかけた。
「そういえば騎士の娘さんですよね!たしか、テラント家は王国の騎士家門だっけ」
よし!昔アリサから貴族達の個人情報を学んだ甲斐がある!でも、何でアリサは貴族達の個人情報を知っているんだ?
「冒険者にしては耳が広いですね。確かに、私の家門は王宮を守る家門。代々に王宮の門番役をしています」
「わあ、格好良いですね。王宮を守る騎士って。でも、ノエルさんはどうして冒険者に?」
「はい…。守るべきものを守る。それが騎士としての役命ですから」
騎士の家門なら冒険者になるより騎士としての実力を上げるのがよほど良い。しかも、王宮を守る騎士家門。下手な貴族達は手も出さない。なのに彼女は冒険者になり、今日からこの会館で過す。なんの理由で……
いつもの癖で深く考える途中、部屋の前まで着いた。
「あ、ここです。部屋の広さは三人で過すには問題ないです」
門を開いて部屋のなかに入った。
よく整理された部屋。
俺自体は掃除なんかあんまり好きではないが、まだ子供であるルリに駄目な姿を見せると悪影響を与えるので毎日自分なりに整理をしている。そしてルリも時間が空いているときは俺の分まで掃除をする。うん、やはり良い子だ、ルリは。
「えっと、ノエルさん。お好きなベットとか―――――」
「いえ。床で大丈夫です」
…、はい?
「そうだ!まだ食事―――――」
「いえ、オニギリがありますので」
・・・―――――――。
「時間つぶしでゲームでも!」
「では私は瞑想をしましょう」
「そういえば!ノエルさんは17歳ですよね!じゃ、俺のおねえ――――」
「いえ、エリシアは15際。2歳の差くらいは友達の範囲です」
「私も王宮行きたいな!王宮はどうですか!?」
「あんまり行ったことないです」
「綺麗ですね!」
「どうも」
…
助けて!ルリちゃん――――――――!!
お兄ちゃんをたすけて―――!!
しかしルリは来なかった。