表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの冬の欠片 ~キミとの追憶~

作者: 星波

夕焼けの光に照らされて

優しく微笑んだ君の笑顔を

私が忘れることはない------------




「もしよければ俺と付き合ってください。」

12月のある日、唐突に言われた言葉。

正直びっくりした。だけど、嫌じゃなかった。寧ろ嬉しかった。


初めて一緒に帰った日、暗い道が怖いって言った私の手をそっと握ってくれたね。

「これで大丈夫でしょ?」

その言葉がどれだけ心強かったか


X’masも一緒だったね

クリスマスプレゼントも買ってくれた

ほんとに幸せ者だなって思った。


映画も見に行った

いっつも学校帰りだったから、重い荷物ばっかりで。

でもそんなの気にするわけでもなく、ヒョイって持ち上げて

「ほら、行くよ」って言ってくれたね


家に来た日もあった

ずっと会えなくて寂しくて

毎日会いたいって思ってた

そしたら君が家に来た

その時君がくれた「はじめて」は

ちょっと甘くて、照れが混じってた


不安でしょうがなくて泣いちゃった時は、ぎゅーって抱きしめてくれて。

我儘いっぱい言ったのに、しょうがないなぁって許してくれて。


そんなあなたの

言葉が

仕草が

声が

ぬくもりが


離れていってしまうなんて

想像もしなかった。






季節はずれの雹が降った、4月の夕方


君は思いつめたみたいに 告げた

「……別れよう」


ほんの一瞬 世界が止まった。

雹の槍が すべての音を消した。

次の瞬間 動き出した。


あぁ、やっぱりかって思った

ちょっとは予想してたんだよ?

なんか空気が違うこと、わかって無視してた

気づかないふりをしてた

だって気づいてしまったら、もう戻れないと思ったから。

でも結局は、気づいてしまった



そして私は、すべてに嘘をついた。

「うん、だと思った」

よかった、笑って言えた。


「泣かないでね?」君は言った


「泣かないよ」と答えたかった

黙って首を振るのが、精一杯だった。

もしかしたら、雹のせいにして涙を隠すことだって出来たかもしれないのに


私はそのまま傘を出た

何も変わらない雹が、私を躊躇なく打った

痛い

苦しい

悲しい

それでも歩き続けた

そうするしかなかった


何もしてあげられなくて

何も言ってあげられなくて

いっぱいいっぱい迷惑かけたのに


結局何も出来なかった

私はただただ無力だった

夢であってと幾度か願った

それも儚く消え失せた


後悔ばかりが襲ってくる

あとからあとから涙が伝う


そんなことしたって君は帰ってこないのに

無駄なことだとわかっているのに


どうしても止めきれないのは


君が、大好きだったから。

君が、大好きでいてくれたから。


本当の私を教えてくれた

本当の恋を教えてくれた



本当に

大好きだった君へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 好きになった人に恋心をもってもらうのは難しいです。 [一言]  彼女は好きになれなかったからこそ、別れを選択したのかなと思います。
2015/12/15 18:59 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ