始まり、1日目。
こんにちは。ぴょんと申します。
文才など微塵も御座いませんがこのままでは設定図書館と改名せねばならないと思い、文字を書こうと思った次第で御座います。
少しの間続くので、こんな私でも宜しければお付き合いしていただければなと存じます。
1話1話は短いと思いますが、細かく分けて書きたいと思っているので気長に待ってやって下さいまし。
ー蝉の声が五月蝿い。たった二週間生きるために何をそれだけ叫ぶのだろう。
神下光流は窓の外を眺めながら、そんな事を考えていた。
彼の右手に弄ばれているシャープペンシルは夏のギラギラとした日差しを跳ね返しながらくるくると回っている。
彼の机には漂白剤も驚く程の白さを誇った反省文がある。
全く、相手側から望んだことだと言うのに何故俺が。
溜息をつく。全く嫌な気分だ。
女というものは生きる欲望だ。望む癖に、自分にマイナスな事があるとすぐ何かを責める。あれ程愚かな生き物はいるのかと思う。
ふと、何も書かれていない原稿用紙に目を落とす。
窓側に居るせいで、突き刺す様な太陽の光が原稿用紙を虐めている。
神下は窓の外をちらりと見、荷物を残したまま席を立った。
そもそも八月のこの時期に冷房もろくに聞かない教室で反省文を書かせる方が悪い。
彼とは正反対の性格をしたスマートフォンが光を反射し、彼の目を貫く。
夏は、嫌いだ。