衝動
気が付いたら病みつきになっていた。
でも、この行為自体は世間から見たら犯罪で、ダメな事で……。
もちろん自分の身に降りかかろうモノなら全力で逃げる。これは間違いない。
始まりはなんだったっけ。
ああ、自分の血を吸いに来た蚊だったような気もする。
人様の腕に忍び寄り、人様の血を拝借していく輩、バレたらもちろん殺されるよね。
では自分はどうなのだろう。
やっぱバレたらコロされるのかな……。
今まではそんなヘマはしてこなかったし、これからももちろんする気もない。
捕まってなどやるもんか。
最近は乾く頻度の間隔が短くなってる気がする。
最初は虫だったのに……猫、犬、そして人。
やっぱり獲物が大きくなるにつれ、目立ちやすくなるんだね。痛感したよ。
「……もう、止めてくだしゃいぃ。」
……ああ、足元の虫が何か呻いてるみたいだ。
というか……まだ喋れたんだ、自分が思ってたよりも頑丈だったみたい。
「……ね、ねえちゃん。おれぁもう大丈夫だから、そんくらいにしてやってくれ……。」
「……そうです?残念。」
ホームレスと呼ばれるような風貌の人に、酔っ払いのお兄さんが殴りかかっていた。
弱い者いじめとかではなくて、正統に人を殴っても良い理由を見つけた為、自分は歓喜していた。
グシャッ――!!
「……ひっ!」
「おじさんもこの時間は酔っ払い多くて絡まれるから、気を付けた方がいいよー。」
「……。」
お兄さんの頭を念入りに踏みつけた後、ゆっくりとその場を去る。
あー気持ち良かった。
たぶんあのお兄さん頑丈だから死んではないんだろうな。
もし死んだとしても、自業自得だし……。
おじさんが警察に届けたりする人だったら面倒だなぁ……。
まだ、人の死というものを自分の手で体験した事はない。
もう少しなんだろうけど、なかなか……それはもうちょっと慎重にやらないと……。
こんな楽しい事があるのに捕まってなんていられないから。