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無題  作者: チャーハン
act/01 きっと、当たり前の日常は
2/15

1.5話

 死んだ。

 ひどくあっさりと。

 人間、生まれてくるのは大変なのに死ぬのは簡単なんだな。

 体の感覚がほとんどないように感じる。自分の輪郭があいまいだ。

 ああ、これが死んでるってことなのか。

 布団でウトウトするみたいな感じ、といえばいいのだろうか。


 これから、どうなるんだろう。


 死ぬ?


 もう死んでる。


 消える?


 ああ、そんな感じだ。たぶん消える。

 ・・・・彼女は、妹の美香はどうしたんだろう。

 一緒に巻き込まれたのかな・・・

 


『それでいいのかい?』


 ・・・・遠くのほうから声が聞こえる。女の子の、まだ幼さの抜けきっていない声。


 誰だ?


『このままだと、君は君個人ではなくなる。それでもいいのかい?』


 ・・・どういうことだ?


『魂が溶け込むのさ』


 ・・・溶け込む?


 何に?


『そっちの世界に。そっちの流れに』


 ・・・・世界に・・・

 あぁ、眠い

 ・・眠い・・・

 ・・・・・すごい、眠い・・・・


『ぐぬぬ、思っていたより分解が早かったか・・・』


 ・・・・・自分がとけていくのがわかる


 周りとの境目が、あいまいになっていく


 きえて、しまうのかなぁ


『・・・そうだっ!君、可愛がってる妹がいるだろ!』


 ?

 美香のことか?


『ええと、キクモトミカ、だっけ。このままだと、もう会えなくなっちゃうよ?いいのかい?』


 ・・・・・


 ・・・・・・・会えなくなる?美香ちゃんに?



 それはだめだ


『うん、そうでしょ?溶け込みたくないでしょう?』


 ああ

 会えなくなるのは嫌だ


『なら、こっち側へおいで!』


 こっち側?

 どうすればいい?


『君が行きたいと願えばいいんだ!早く、時間がない!!』


 そういわれて、僕は『願った』



 これが僕、菊本信也が、

 菊本信也だった、最期の時間だった

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