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忠告
「私、しばらくここにいてもいい?」
少女がそう聞くと、青年は一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐ柔らかな微笑へと表情を変えて頷いた。
「ご自由にどうぞ? でも、ここからは出ないでいて。君はまだ死んでいないわけだし、ここから無理に出ようとすると本当に死ぬ可能性もある。元の世界に行くか、ここにいるか、その二つだけにしておいて。いい?」
「……? 判った」
少女が頷くと、青年は微笑んだまま再び頷いた。そして聞き覚えのあるあの呪文のような言葉を呟いて姿を消してしまった。
「……ここには……グレイス以外に……誰も、いないのかな……」
少女は辺りを見回して――そして何か、きらりと光るモノを見つけた。