重ねる歳月
コラボカフェ特有の甘ったるいドリンクを飲みながら、私はケータイのカレンダーを見ていた。トイレに立っていたアサカが戻ってきたので、ケータイをテーブルに置く。
「ただいま~」
「おかえり」
アサカがポテトサラダを口に運ぶ。私はドリンクを飲み干して、三杯目のドリンクを注文した。
「まだ頼むの?」
「あと一杯だけね」
「今回のコラボのイラストかわいいから、欲しい気持ちはわかる」
「本当にかわいいよね……。ってかさ、ちょっと話を変えていい?」
「ん? いいけど、どうした?」
「さっきカレンダー見てたらさ、もう今年って半分しかないんだなって思って」
「あー、ね、もう六月が終わるから、半年か。時間が過ぎるのって早いねぇ」
アサカの言葉に、私は頷いた。
「そうなんだよ、時間が過ぎるの早いなって。今年がもう半分しかないって怖くない?!」
「まあ確かに、そう考えると半年あっという間だったなーっては思うね。でもそんなに怖がることはなくない?」
「そうかなぁ」
私が納得できないでいるあいだに、注文したドリンクが届いたので、特典のコースターを確認して、写真を撮った。
「かわいいねー」
「ね、かわいい……って、こんな会話ばっかりしてない?」
「だって本当にかわいいんだから仕方ないでしょ」
「それはそう」
「ミチカとはこれからもこんな会話ばっかりしていたいよ、私は」
「なに、急に。ありがとね?」
「時間が過ぎるのって早いねってミチカが言うから、どんなに時間が過ぎてもこういう時間を大事にしてたいなって思ったの」
アサカの言葉に、私は胸が温かくなる。
「ええー、ありがとね、本当に。私もアサカとずっと一緒にオタクしていたいよ」
「ね、私たち二人、おばあちゃんになってもコラボカフェ楽しみたいよね」
「私たちがおばあちゃんになる頃にもまだコラボカフェって流行ってるかなぁ」
「それはわかんないけど、まあ私たちがオタクやめることはないでしょ」
「オタクってやめようとしてやめられるものじゃないもんね」
「それ」
お互いに笑みを浮かべて、ドリンクを飲んで一息ついた。
「でも、ここのコラボカフェももうすぐ閉店しちゃうんだよね」
「閉店じゃなくて、移転だよ」
「そうだっけ」
「そうだよー、今のとこより駅に近くなるらしい」
「そうなんだ。ちゃんとチェックしておかないとなー」
「またなんかいい感じのコラボあったら来ようね、その時には場所が変わってるだろうけど」
「ね、また来たいね。ここのコラボカフェじゃなくても、カラオケとかも行きたいし」
「いいねー、カラオケ。今なんかコラボあったっけ?」
「色々やってるみたいだけど私らの好きな作品のコラボは今はないかな。コラボじゃなくてもカラオケは行きたくない?」
「たまには行きたいかも」
「ね、たまに行きたくなるよね、カラオケって」
アサカがドリンクを飲み干したので、私もドリンクを飲み干した。伝票を二人で確認して、財布を取り出す。
「ミチカは今日はこれで帰る?」
「帰るかな、ちょっと今日は時間なくて」
「そっか、私は少し書店にでも寄っていくつもりだったんだけど」
「え、いいな」
「時間ないんでしょ?」
「そうだった……今日はやめとく」
お会計を済ませて、カフェを出た。
「じゃあ、今日はこれで。またね、アサカ」
「ん、またねー、ミチカ」
アサカは書店に寄り、私は駅に向かうので、別方向に歩いていく。なんだかとっても寂しいような気がした。
時間が過ぎるのは早い。でも、過ぎていく時間を大切に、重ねていきたい。改めてそう思った。
〈了〉
もう今年が半分しかない……。少し焦りながら、でも、みたいな、気持ち。




