表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

come next story 0006 光のほうへ

ある土曜日、いつもの喫茶店に向かうとシャッターが下りていた。

 手書きの貼り紙には「店内改装のため一週間お休みします」とあった。


何気なく歩く商店街は夕焼けに染まりはじめていた。買い物袋を抱えた家族、ベビーカーを押す母親、笑いあうカップル。


 五郎はそのすべてから一歩退いた場所に立っていた。"自分には関係ない世界だ"そう思い込んで、思い込ませて、慣れているはずだった。


傘を差しだしてくれた手・優しく名を呼ぶ声。

一つ一つが心の奥を溶かしていた。

それでも、人との交流が怖いというのは変わらない。


過去を背負い歩くことしか知らない自分が幸せの中に入ることは、赦されるのか?

その問いを繰り返しながら胸をずっと束縛していた。


帰り道懐かしい場所へ足が向いた。

古びた団地さびた鉄の階段、傾いた郵便受け。そこは五郎が暮らしていた住居。

父の怒鳴り声が壁を伝い響いていたあの部屋。

 ベランダに干された洗濯物が風に揺られていた。


 知らない家族がそこで普通に暮らしていた。もうここには何もない。

確かに過去はここにあった。終わったんだな・・・・・

誰に言うでもない言葉が、空に弾けた。


それは敗北ではなく、一つの区切り。逃げるのではなく、前進するための。


夕陽が照らすアスファルトを五郎はゆっくり歩きだした。

五郎の心に光が灯った瞬間だった。

小さいけれど、消えない希望が・・・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ