表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

come next story 0005 言葉にできない想い

翌日 雨は上がっていた。


 昨日借りたビニール傘を持って五郎は喫茶店に立ち寄った。

 返すついでにコーヒーを飲むそれだけのつもりだった。


 「おはようございます」

そう、言って傘を返すと紗英は微笑んだ。

 「ありがとうございました 助かりました」


 自然にお礼が言えた。五郎にとっては、小さな進歩。


 珈琲を待つ時間、彼女の一言を思い出していた。

 【私もそうしてもらいたいかな・・・】




小さいころ両親の怒鳴り声、どれだけ逃げても、心までは隠れることは不可能だった。誰かが傍にいてくれたら、どれだけすくわれたのだろうか・・・

あたたかい手で背中を撫でてくれる人がいてくれていたら。誰かを好きになれば、その人を遠ざける未来が来るんじゃないかと思うから、怖いのだ。




 「怖いんです」

ふと口にした言葉。向かいにいた紗英が少し首を傾げた。


 「何が怖いんですか?」

 「誰かを・・・好きになることが・・・」

それは五郎の精一杯の言葉だった。


紗英はそれ以上何も言わなかった。何も聞かなかった。

 でも頷いた。それだけで、救われた。


そう知ったのは、初めての感覚だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ