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ICE  作者: Karionette
4/9

04




儀式を行う日。

それまで2人は話すことも、目を合わせることもなかった。


ただ、クロウは1日中見張りを行い、ハルは儀式の用意を進めた。


淡々と、しかし確実にその日は近づき、ついにそれは翌日と迫った。


誰もいない時間に、クロウは命の炎の部屋を訪れた。

しかしそこには先客がいて、その姿を見て咄嗟に姿を隠す。


いたのは、ハルだ。



「命の炎。私は、明日、氷の神様の所に行くの」



いつかの日にクロウに言ったように、ハルは炎の話し相手になっていた。



「怒っているのか、何かあったのか、本当はわからない。分からないから、行って、出来ることをする。もしかしたら、帰って来れないかもしれない。その可能性があることも、きちんと分かってる」



ハルは分かっていた。

今の寒さは、体力があることも若いことも、簡単に打ち砕くほどに強い。

意志の力では、どうにもならない事も分かっていた。


震える手を首飾りに。

握りしめて、ハルは笑う。



「でも、私は……。私は生きて欲しい。父さんや母さんが居なくなって、1人になった私と、ずっと一緒に居てくれたから。ずっと、ずっと、一緒に……」



ハルは泣かなかった。

涙を落としはしなかった。



「お願い。みんなを、クロウを守って。あいつ、私がいなかったら1人になっちゃうから。私は死んでも、父さんも母さんもいるけど、クロウは本当に、ひとりになっちゃうから。だから、お願い。どうかクロウを守って。クロウとの、約束を破ったこと…ごめんねって……っ」



クロウはその場を去った。




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