表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/67

16話 住環境の整備、進んでます。


それから約1週間ほど。

朝(といっても、例によって昼前だが)、俺が目を覚ましたのは外の扉が開く音でだった。


身体を起こしてみれば、そこには頭にタオルを巻いたセレーナの姿がある。


「あら、やっと起きたの」


うん、なんか毎朝同じことを言われている気がするなぁ、俺。

でも、彼女は決して咎めたりはしない。緊急でなければ、思うさま寝させてくれる。


あれ、もしかして女神?


「おはよう、セレーナ。湯を浴びてきたんだな」

「そうよ。昔は朝から入るのが習慣だったの。それにせっかく、アルバが井戸を直して水まで引いて作ってくれた公衆シャワー。使わないのはもったいないもの」


にこっと笑いながら、彼女は髪をタオルでぬぐう。

そうして彼女用に新しく作ったベッドに腰掛けると、今度は魔導乾燥機を髪に当ててかわかしはじめた。


なんてことのない生活の一コマ、しかしそれがゆえにその美しさは際立つ。

彼女の髪から飛ばされる水滴さえ、きらめいて映るのだ。


あれ、やっぱり女神……?


「これも、作ってくれてありがたいわ」

「え、えっと、なんのこと」

「聞いてなかったの」


いや、そういうわけじゃないのだけど。

見とれて耳半分になっていたことは否定できない。


だがそれを直接言えるほど、俺はキザな人間でもなかった。


「この魔導乾燥機よ。きちんと髪もかわくし、うるおいも残る。こんなものがつかえる生活なんて、クロレルシティを出てきたときは考えもしなかったわ」

「あぁ、それのことか。俺もだよ。乾燥機の残骸が転がってて助かった」

「探せば、街で使ってる道具の大概はあるものね。全部壊れてるけど」


村に公衆トイレを作ってからというもの――。


俺は『有形創成』によりさまざまな生活用具を生み出していった。


といって、無限に魔力があるわけじゃないし、疲れるのは勘弁だ。

そのため、日々ちまちまと整備を進める。


その成果もあり、だんだんとながらトルビス村の生活環境は整いはじめていた。



まず取り組んだのは、衛生環境の整備だ。

大きな設備でいえば、シャワーを浴びる場所も作ったし、発生したゴミを燃やす炉も作った。


一つ一つを作るのにはそれなりに時間を要したが、これらがあるだけで、かなり生活は変わる。

清潔感のある生活が送れるようになり、精神的な負荷はかなり下がっていた。

その原材料が破棄されたゴミだというのは、少し面白い。


いずれは各家にトイレやシャワーを設けるぐらい充実をさせたいところだが、それはおいおいだ。


今はさきほどセレーナが使っていた乾燥機みたいな、「あったらいいな」の小道具を作りながら、住環境の整備を行っていく必要がある。

少なくとも俺は、そんなふうに計画を立てていた。




引き続きよろしくお願いいたします。

お気に入りの登録をいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化!】
スターツ出版ノベマ! グラスト!大賞にて、長編賞をもらいまして、2024/3/22書籍化します✨
12917-750.jpg?t=1709864927
(リンク先の最下部がこの作品です)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ