13話 快眠から覚めたら刺激的な朝
結論から言おう。
まじでめちゃくちゃ寝た。時間も気にせず、底まで寝た。
魔物の脅威は去り、腹もたっぷり膨れたうえでの睡眠だ。
たとえばベッドの弾力が少し物足りなかったからといって、関係ない。
俺は、ぼやぼやとしぼむ目を開け、しかし起き上がる気にはなれずに身体を横に向ける。
「あら、やっと起きたの。お寝坊さんね」
そこではセレーナがうつぶせで寝転がり本を読んでいたらしい。
寝巻き姿の彼女は、俺の顔を覗き込むように見て、くすりと笑う。
見れば、俺と同じ毛布を被っていた。
足元に目をやれば、光を弾いたみたいに白く形のいい脚が毛布の先で持ち上げられている。
爪の先まで芸術品かのよう、なんて息を呑んだところで、やっと正常な思考が帰ってきた。
俺は自分の顔を強く叩いて、飛び起きた。すぐにベッドから飛び降りる。
……おいおい、ちょっと待て。これは一体どういう状況だ……?
「な、なんでセレーナがここに? どうして同じベッドにいるんだ……!」
「急になに。耳が痛いわ。なんでって、昨日のこと忘れたの?」
も、もしかして俺はやってしまったのか。食欲を満たした次は性欲ってそういうことですか!?
だがしかし、俺にそんな記憶は全くない。呆然としつつ、ただただ首を横に振る。
「……そう。それは残念ね」
「いや、その、えっと……」
もし本当に、そういうことをしてしまっていたのなら。
覚えていないのは最低すぎる。俺が頭を下げかけたところで彼女は言う。
「よっぽど眠かったのね、きっと。あなた、家に入るなり藁でベッドを作って寝ちゃったじゃない? でもこの家には、これしかベッド台がなかったの。
だから、一緒に使っていいかって聞いたわ。そしたら、うんって。あれは寝言だったの?」
一気に体の硬直が解けた俺は逆に力が抜けて、枕へと崩れ込む。
とにかくよかった。あらぬ行為が行われていなくて本当によかった。
まだまだストックもありますので、引き続きお読みいただければ幸いです。
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