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よく分かんない作品集

ニンゲンであそぼう!

作者: 七宝

 2024年。人は品種改良により様々な体質を持つようになっていた。恐ろしすぎるその発展スピードは、神の介入によるものであった。


 鋼の体を持つ者、木の体を持つ者、魚肉の体を持つ者、納豆の体を持つ者、ありとあらゆる体質の人間を作り出した神は彼らの体で実験をしていた。


「ふむ、やっぱり錆びるか⋯⋯」


 鋼の体を持つ屈強な男の体は錆色に染まっていた。錆びた男を投げ捨て、隣に立つもう1人の男に手を伸ばす。


「うむ、衣はカリカリになっているな。では味見するか」


「うぎゃぁぁぁぁああああ、うう! はぁ、はぁ⋯⋯」


 腕を食いちぎられた全身唐揚げ男はあまりの痛みに息が乱れている。サクサクと小気味の良い音を立てて咀嚼する神。


「次はニンニク多めでもいいな。砂糖も少し入れてみようかな」


 唐揚げ人間を飼いリヴァイアサンの檻に投げ入れた神は、また次の人間に手を伸ばした。全身キンタマ人間である。


「さて、実験だ」


 神はキンタマ人間を42℃のお湯と3℃の冷水に交互に入れた。お湯に入れると全身がゆるんでダラダラ状態になり、冷水に入れると全身がキューっと締まる。面白い体質だ。


「よし、お前は今日から私のお気に入りだ」


 神はキンタマ人間に動けなくなる呪いをかけ、お気に入りを飾る棚に置いた。キンタマ人間は絶望的な顔をしている。全身キンタマだから顔なんてないはずなんだけどな。


「次はお前だ」


 神は普通の人間を手に取った。中肉中背のサラリーマン風の男である。スーツをビシッと決め込み、両肩には巨大なナメクジを這わせている。


 男のモヒカンを持ちながら、神は冷凍庫の扉を開けた。


「ニンゲンが凍るところ見てみたい」


「ひえぇ!」


 6時間後冷凍庫を開けると、そこには真っ白になった男の姿があった。ナメクジは心なしか縮んでいた。


「さて」


 神はかき氷機を持ち出し、男を上にセットした。ガリガリと削る。雪となった元人間が透明の器に降り注ぐ。白い肌、赤い肉、黒いスーツ、レインボーのネクタイ、クリーム色のナメクジ。


 ⋯⋯ナメクジ?


「キモ」


 神はせっかく作ったかき氷を捨ててしまわれた。このシーンは聖書の中でも一二を争う名シーンだろう。


「さてと⋯⋯」


 神はズボンとパンツを脱ぎ、パソコンの前に腰を下ろした。マウスとキーボードを巧みに使いこなし、目当ての動画を再生する。


『次はみかんゼリーのポーズです』


 動画の女性の体勢を真似る神。透明のゼリーにみかんの果肉がいくつか入ったカップに擬態する。ヨガは体に良いのだ。


『レシートのポーズです』


 烏龍茶68円、なすび298円、バナナ98円、鯉のぼり15000円、自転車29800円、計45264円。下部には「ファミリーマートの期間限定キャンペーン。このレシートをご持参でドリンク全品30円引き」という文言を印字する。


『ざけんなぁ!!!』


 インストラクターの女性がバイトの男の子に怒鳴っている。どうやら画角が1ミリほどずれたようだ。


『おめぇもう要らんから! 今日でクビ! さっさと消えろ!』


 男の子はしょんぼりした顔で帰っていった。


『えー、次は黒煙のポーズです』


 般若になった顔を笑顔に戻し、ヨガを続ける女性。神も見よう見まねで黒煙になる。


「今だ!」


 神の部屋に掃除機を持った男が3人入ってきた。3台の掃除機の口はすべて黒煙となった神の方を向いている。神を吸い込むつもりなのだ。


「何のつもりだお前たち!」


「うるせぇ! 自分の欲望のために人間を弄びやがって! 封印してやる!」


 神は3台の掃除機に吸われてしまった。3等分された神は自力で元に戻ることが出来なくなってしまったようで、3つの掃除機が合体した怪物になってしまった。口はすべて外を向いていて、胴体の尻の部分が3つ結合している。1回でいいから実物を見てほしい、めっちゃ面白いから。聖書持ってない人は誰かに見せてもらってね。


「おい聞いてねぇぞ!」


「お前が掃除機で封印出来るって言ったんだぞ!」


「どうするんにょ! 神様こっち来てるにょ!」


 不測の事態に喧嘩を始める3人。それぞれ掃除機の口に吸いつかれ、気をつけの体勢のまま振り回される。巨大なプロペラのような状態だ。


 それから地球は宇宙を旅した。神と3人の人間によるプロペラで進んでいるのだ。3人は犠牲になってしまったものの、プロペラとなっている神はそれ以降人間で遊ぶことをしなくなったという。というか何も見えないから止まれないらしい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] どんな人生を送ったらこんなぶっ飛んだ作品が書けるんですか… リアルで口ポカンってなりました。人類には早すぎます!! [一言] AIが小説を書くようになってもこんなぶっ飛んだ作品は出来ない…
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