第四話 なかなか始まらない。その三
前回の前書きで言っていたプチ情報は今思いつかないので、明日の私に任せます。すごく期間が空いてしまいましたが、お楽しみいただけると幸いです。
ハイドに会いに行くために部屋の扉を開けた先は、天井が高くて、とても広い部屋だった。ぱっと見の感想を言うならば、魔王謁見の間って感じだった。そこには、やけに大きくて二人が座れそうなくらいのイスがあった。
悠「…こういうのってどこかにトラップが仕掛けられてるやつだよね。」
コン「一見仕掛けられてないみたいですね。」
彩葉「え?なんで分かるの?」
コタツ「兄さんは目がいいですから。」
悠「なにそれ、すごいかっこいいやん!」
彩葉「待って、悠ちゃん。その説明でいいの?」
悠「聞いたタイミングで答えないなら、わざわざ聞かなくてもいいかなって思って。分からないことを考えるのも楽しみの一つだし。」
私達はコンの言葉を信じて先に進むことにした。そして、周囲に注意しながら話を再開した。
彩葉「そういう割に考えずに行動すること多いよね、悠ちゃん。」
悠「それは言わないお約束ってやつですよ、彩葉さん。」
彩葉「私にはそんな約束した覚えはないですね。」
悠「そこはノリと勢いでの対応をお願いします。」
彩葉「なんかいつもと変わらな…悠ちゃんってどこに行ってもいつも通り堂々としてるね。でも、なんで場合によって変わるの?」
悠「それはまあ、ノリといきお」
彩葉「悠ちゃん。ちゃんとした説明を考えるのが面倒なだけ、もしくは全てを特に何も考えずに動いてるだけなんじゃない?」
悠「それを言い換えてノリと勢いだよ、彩葉。」
彩葉「違うよね。で、本当は?」
悠「私は、楽しめればそれでいいかなって…思ってるから、かな。面白いことも、ハプニングも楽しめたらいい思い出になるよね?だから、知らないことは知らないままでもいいかなーって思って。知りたくなったら自分で推測するなり、問い詰めて引っかけるなりすればいいし。」
コタツ「あとの手段が少し含みがある怖い言い方に聞こえたんですが。」
コン「やっぱり悠さんは面白いですね。」
彩葉「最初からそう言ってくれていいのに。」
悠「いや、言いにくくない?『私は決断をノリと勢いで決めてます。』なんてさ。」
彩葉「でも、そうなんでしょ?」
悠「全部とは言わなくてもまあ、八割くらいは。」
コン「そこも悠さんを見ていて楽しい理由なんですかね。」
彩葉「残りの二割は?」
コタツ「僕も気になります。お教え願えますか?」
悠「いいけど…しょうもないよ?」
彩葉「大丈夫。この話には面白さを求めてないし、
悠「あとの二割は1:0,5:0,5で」
彩葉「0,5ってなると分かりにくいし%でまとめて。」
悠「おけ。えーっと、75%がノリと勢い、10%が消去法、同率5%でそのときの気分、ちゃんと考えて決める、何も考えず適当に決める。って感じかな。」
彩葉「思ったよりもまともなのが少なすぎてびっくりなんやけど。あと割合変わって増えたし。じゃあ、ノリと勢いと何も考えず適当に決めるってやつの違いは?」
悠「ノリと勢いは辛うじて考えてはいる。けど、気分優先。何も考えず適当にってのは、言葉通り一切考えずに決める。」
彩葉「考えてみたら、普段から悠ちゃんはそんな感じだったわ。」
悠「でしょー?深読みするだけ無駄って感じ。うっ、なんか自分で言ってて悲しくなってきたわ…。」
彩葉「私、そこまで言ってないからね。」
悠「なるほど。言ってはないけど思ってはいるってやつね。」
彩葉「それこそ言わないお約束ってことで。」
悠「言われる側になったら気持ちが分かるね。まあ気にせんとこ。話変えるんやけどさ」
彩葉「うん。」
悠「扉を開けた先は、廊下かと思ってたけど違ったよね。あとドアがめっちゃ多い。」
彩葉「そうだねー。これだけ広い場所ならアニメに出てくるドラゴンも入れそうなくらいだよね。ドアの色もちゃんと変えてないと来た道が分からなくなりそうだよね。」
???「まあ、前の魔王がそんな感じだったからねー。ドアの色は改修工事をしたときに変えたんだ。だからそれまでのこの城はまさに迷路って感じだったよ。」
悠「そうなんだ。って、え?」
聞き覚えがある声が後ろから聞こえて…後ろから?と思い、振り向くと別のドアが開いていて、そこからハイドと鈴が出てきた。
悠「ドアが開く音がしなかった…。そしてまたしても後ろから人が出てくるという…私達背後取られすぎなような。」
コン「心配いりませんよ。私達は気付いてますから。」
彩葉「じゃあ教えてほしかったな。」
コン「ハイドさんと鈴さんだということも分かっていましたし敵意もなかったので、ならばそれで悠達の話を遮るほうが嫌だなと思いまして。」
ハイド「誰かも分かるってやっぱりすごいね、神様って。」
コタツ「僕には誰かまでは分からなかったので、兄さんが空間認識能力が優れているというのもあるんでしょうね。」
ハイド「まあ、驚かさないように、ここに入ってくる前に2回ドアをノックしたんだよ?」
鈴「話に集中して聞こえなかったみたいだけどね。」
悠「広くて天井が高い部屋でよく声が響くから楽しくなって声が大きくなってったんだろうね。」
彩葉「悠ちゃんがよく響く大きな声なのはいつものことだよね。」
悠「たしかに。」
ハイド「…そろそろ本題に入ってもいいかな?」
彩葉「あ、はい。」
鈴「君達がここに進んできたのはミッションのためだよね。」
悠「そうですね。お二人からのおつかいってのが7つあるミッションのうちの2つになっていました。ミッションのことでなにかシンから聞いていますか?」
ハイド「悠ちゃん達を応接間で待っているときに『またあとで悠達が君達二人のところにミッションのためにおつかいを頼まれに来るだろうから、それまでに適当に考えておいてくれるかな。簡単で命の危機がないやつ。じゃ、よろしく。』って。」
コン「なるほど。相変わらず大雑把な感じがしますね。」
鈴「そういう性格なんだろうね。」
悠「振り回される身にもなってくれって感じですね。」
彩葉「それ、悠ちゃんが言えた話じゃないような…。」
そして話し合いは続き、逸れ、長引いていったのであった。
ちょうど三連休なので、連続投稿をしようと思います。え?先週も三連休だった?先週と今日の午前は部屋の片付けと頭の整理に追われていました。投稿期間が空いたのは、夏バテとちょっとしたスランプです。考えようとすればするほどに頭が働かなくなるという…。三連休の連続投稿が過ぎたら、また一定のペースで投稿していきます。